不動産売買契約の基礎知識!注意点や必要書類から当日の流れまで
不動産の売買は人生の中でも最も大きな取引の一つと言え、契約を結ぶ際には細心の注意が必要です。
しかし、不動産売買の流れや売買契約書の内容について理解していないと、思わぬところでトラブルに巻き込まれるかもしれません。
この記事では、不動産売買契約の一連の流れや必要書類、費用などを詳しく解説します。
また、売買契約書のチェックポイントや注意点についても触れていますので、不動産売買を考えている方はぜひ参考にしてください。
不動産売買契約の前提知識
不動産売買契約は重要事項の説明を受け、買主と売主の双方が合意をしたら契約が締結されます。
ただし、一旦契約を結んでしまうと解除することは簡単ではありません。
そのため、事前に契約内容や契約についての知識をつけておくことが非常に重要です。
ここからは、不動産売買契約を結ぶ上で理解しておくべき前提知識について詳しく解説します。
契約は自己責任で締結される
売主と買主の間に締結される契約は公序良俗に反するなどの問題がない限り、基本的に自由です。
つまり、契約は原則として自己責任で締結されることになります。
もちろん、買主が不利益を被らないように法整備はされていますが、全てをカバーできるわけではありません。
特に、不動産会社が仲介せず売主から直接購入するケースだと、買主にもそれ相応の不動産の知識が必要になるため事前準備が必要です。
不動産会社が仲介をしているケースだと、説明責任を果たさない場合は業務停止や免許取り消しの処分を受けることがあるため、買主が不利益になるような契約は基本的にありません。
そのため、売買契約に不安がある方は不動産会社に依頼することをおすすめします。
不動産を売主から直接購入するとどうなるのかというのは以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。
契約に対しては消費者契約法が適用される
事業者と消費者の間には情報力などの差があるため、消費者保護を目的とした特別な契約ルールが定められています。
買主が誤認した場合は契約を取り消せるケースや、不利益な条項を無効にできるケースなどが挙げられますが、しっかりとした条件があるため注意をしましょう。
具体的には以下のような取消権が認められています。
- 重要事項を事実と異なる内容を告げた(不実告知)
- 不確かな事項を「確実」と説明した(断定的判断の提供)
- 消費者に不利な情報を故意または重大な過失により告げなかった(不利益事実の不告知)
- 消費者は退去をお願いしているのに強引に居座った(不退去)
- 消費者は帰りたいと伝えているのに強引に引き留めた(退去妨害)
- 社会経験の乏しさを利用してセミナーなどで消費者の不安をあおる(不安をあおる告知)
- 社会経験の乏しさを利用してデート商法などで消費者の好意を利用した(好意の感情の不当な利用)
- 高齢による判断力低下を利用して消費者の不安をあおった(判断力の低下の不当な利用)
- 特別な能力によって消費者の不安をあおった(霊感等による知見を用いた告知)
- 契約前なのに消費者から強引に損失補償を請求した(契約締結前に債務の内容を実施等)
- 消費者にとって分量や回数などが多すぎる(過量契約)
特に不動産売買で起こり得るのは「虚偽の内容が含まれていた場合」と「必ず得をするといった断定的な表現で勧誘された場合」などがあります。
ただし、注意点として個人であっても事業目的の契約は消費者契約法の保護対象にはならないので注意をしましょう。
また、消費者契約法の行使期間は追認できる時点から1年、契約の締結時から5年であるため、契約後に疑問や不安がある場合は消費者ホットラインに相談をするか、物件の売却を検討するのをおすすめします。
不動産売買の流れを買主と売主別で解説
売主は不動産を売却するための手続きを行う一方、買主は物件を購入するための準備や契約を進めていくため、それぞれ流れが異なることに注意をしましょう。
特に買主は不動産売買においてやるべきことが多く、期間もそれだけ長くなってしまいます。
不動産売買を予定している方はこれから紹介する立場に応じた手順を確認し、スムーズな取引を目指しましょう。
不動産を売るときの流れ
不動産を売るときは通常、不動産会社に仲介を依頼して買主を探します。
その際の流れは以下の通りです。
- 査定を依頼する
- 媒介契約の締結する
- 売却活動
- 売買契約の締結
- 決済と引渡し
- 確定申告
最初の物件の査定には「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。
最短当日に査定結果が出るのが簡易査定ですが、より精度が高いのは訪問査定ですので、売り出し価格を正確に決めようと思うと訪問査定を行った方が良いでしょう。
また、媒介契約を締結し、実際に売却が決まったら売主は不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。
この仲介手数料は売却する物件価格によって価格が変わってくるため、事前にどの程度の手数料がかかるかを確認しておきましょう。
IT重説も検討をしておく
また、従来は重要事項説明などは対面で行われていましたが、現在ではIT重説も可能です。
IT重説とは、日程調整や遠方であることが理由で対面が難しい時に、オンラインでの重要事項説明が行えるような仕組みのことを指します。
IT重説の要件としては以下の通りです。
- 双方向でやりとりできるIT環境において実施
- 重要事項説明書等の事前送付
- 説明前に重要事項説明書等の準備とIT環境の確認
- 宅地建物取引士証を相手が視認できたことを画面上で確認
IT重説により、遠隔地に所在する顧客の移動費などの負担が軽減され、顧客がリラックスした環境で説明を受けられるようになりました。
日程調整の幅も広がるので、より柔軟に調整することができます。
不動産を買うときの流れ
不動産には売主物件と仲介物件の二種類があります。
売主物件は新築マンションや新築一戸建てに多く、仲介物件は中古マンションや中古一戸建てに多いです。
中古物件の場合だと売主が個人であることが多いため、取引の際は不動産会社が仲介に入ることになります。
では、実際に不動産を買う際の流れを見ていきましょう。
- 希望する条件の整理
- 資金計画
- 物件選びと住宅ローン選び
- 内覧
- 購入を申し込む
- 住宅ローンの事前審査
- 契約内容の確認と重要事項の説明
- 売買契約の締結
- 住宅ローンの本審査と契約
- 物件の引渡しと融資実行
購入後のトラブルにならないように重要事項の説明の際は、渡される書類にもしっかりと目を通しておきましょう。
また、住宅ローン選びも非常に重要です。
近年は住宅ローンの種類も豊富になってきたこともあり、以前は住宅ローンに組み込めなかったものが組み込めるようになってきています。
今まであったのは「住宅ローンの中に家具や家電を組み込みたい」というものや「外国人向けの住宅ローンを紹介してほしい」というものがありました。
家具や家電を組み込める住宅ローンや外国人向けの住宅ローンについては下記の記事で詳しく解説していますので、気になる方は合わせてご確認ください。
不動産売買契約の成立日
売買契約の成立日について疑問を持つ方もいらっしゃいますが、契約の成立日は売主と買主の意思が合致し、契約に合意した日です。
不動産売買契約書を締結する場合であれば、契約書を作成し、締結された時点で売買契約が成立したと考えられます。
また、手付金を授受した時点で、契約が成立したとみなされるケースもあるようです。
不動産売買に必要なものや書類
不動産の売買には様々な書類が必要となり、マンションや一戸建てなど物件のタイプによって必要書類が異なります。
その中でも、ここからは一般的に必要だと言われている書類を買主と売主別に見ていきましょう。
売主に必要な主な書類 | ・本人確認書類 ・物件の間取り図 ・耐震診断報告書 ・実印や印鑑証明書 ・住民票 ・登記済証 ・登記識別情報 ・土地測量図 ・境界確認書 ・付帯設備表 ・告知書 ・固定資産税 ・都市計画税納税通知書 |
買主に必要な主な書類 | ・購入申込書 ・身分証明書 ・所得を証明できる書類 ・物件概要書 ・間取り図 ・実印や印鑑証明 ・住宅ローンに関する書類 ・借入金残高証明書または返済予定表 ・返済口座通帳 |
このように、不動産を売却する際の方が購入する際よりも必要書類が多くなります。
住宅ローンに関する書類というのは金融機関によって異なりますが、借り入れ申込書、住民票、住宅ローン契約書などが一般的です。
ただし、これらの書類の必要性の度合いは状況によって異なります。
必ず用意しなければならないものもあれば、あると手続きがスムーズに進むものもあるため、実際に必要となる書類については不動産会社に相談するのが最も確実でしょう。
不動産売買契約書の必要性とは
不動産売買において必要となる書類の1つに、不動産売買契約書という書類があります。
不動産売買契約書とは、売主側と買主側が契約内容に相違がないかを確かめ、契約後のトラブルを回避するために、不動産売買の合意や取り決めを盛り込んだ契約書のことです。
例えば、売主には売買代金を受け取る権利が発生し、買主には不動産を約束した状態で受け取る権利があります。
これについての契約書を作成することで双方の権利義務が明確になり、トラブルを防止することができるというものです。
また、権利義務を明確化する目的の他に、契約の証拠を保全するという目的も不動産売買契約書は担っています。
万が一、裁判に発展するようなトラブルが生じてしまった場合、口約束だけでは事実を立証することは難しいです。
その時に不動産売買契約書を交わしておけば、双方で合意をした内容が分かるためトラブルを避けることができます。
そのため、不動産売買契約書には双方で合意をした内容をしっかりと契約に記載をするようにしておきましょう。
不動産売買契約書に記載すべき内容
ここからは、不動産売買契約書に記載するべき内容をご紹介します。
あくまで基本的な項目になりますので、契約内容によっては別途内容を追記してください。
概要 | 内容 |
---|---|
当事者情報 | ・氏名 ・住所 ・電話番号法人の場合は名称 ・代表者氏名代理人の場合は、代理権限を証する書類の添付 |
売買物件情報 | ・不動産の種別(土地、建物など) ・所在地、地番、家屋番号 ・登記簿謄本記載事項 ・所有権の移転時期 ・測量状況 ・土地・建物の利用状況(居住中、賃貸中など) ・築年数、耐震診断結果 ・都市計画法に基づく制限(建蔽率、容積率など) ・その他、物件の状況に関わる事項 |
売買代金 | ・金額支払方法(現金、振込、銀行ローンなど) ・支払期日手付金の額、支払方法、支払期日 ・売買代金の残金支払方法、支払期日 ・代金振込先口座情報 ・売買代金の利息に関する特約(売主負担、買主負担など) |
引渡し | ・引渡し時期 ・引渡し場所 ・引渡しの方法(鍵の渡し渡しなど) ・引渡し時の費用負担 ・引渡し完了前の滅失・毀損に関する特約 ・引渡しの遅延に関する特約(違約金など) |
負担・権利 | ・固定資産税、都市計画税、不動産取得税などの分担時期 ・修繕積立金等の分担時期 ・賃借権、地上権、抵当権などの抹消・移転に関する特約 ・所有権移転登記費用負担 ・物件に関する権利義務の移転 ・分担に関する特約 |
瑕疵担保責任 | ・瑕疵担保責任の範囲(修補、代金減額、契約解除など) ・瑕疵担保責任の期間 ・瑕疵の通知方法、期限 |
設備 | ・設備の引渡し時期、方法 ・設備の状況(種類、状態、設置場所など) ・設備の保証内容、期間 ・設備の修繕・交換費用負担 |
特約 | ・融資利用に関する特約(融資実行条件、金利負担など) ・敷地権が賃借権の場合の特約(更新料、解約条件など) ・その他、個別の事情に応じた特約 |
その他 | ・契約の解除条件 ・違約金 ・管轄裁判所 ・契約書作成日 ・当事者双方の署名・捺印 |
概要も多く、内容が複雑にはなっていますが、一般的には全国宅地建物取引業保証協会や不動産適正取引推進機構が作成した標準契約書のフォーマットを参考にして、業者が用意したものを使用することが多いです。
そのため、通常は契約書の内容について買主と売主が協議や交渉を行うことはほとんどないため、不動産売買契約書の内容について不安な方も心配はいりません。
不動産売買契約書作成の流れ
不動産売買契約書の作成は、売主と買主の合意形成の中で重要な位置を占め、売買の条件や物件の詳細を明文化し、トラブルを防止する役割を果たします。
ここからは不動産会社が仲介に入ることを想定して契約書作成の流れを見ていきましょう。
- 事業者を選ぶ
- 売買契約書を作成する
- 内容を確認してもらう
- 売買契約書の最終確認をする
買主と売主で別々の仲介業者がいる場合は、双方の業者が協力して売買契約書を作成します。
売買契約書の作成期間に特に決まりはありませんが、おおよそ1週間程度で作成されるものから物件や当事者事情に応じて1ヶ月程度かかるものもあり、一概には言えません。
しっかりとした業者であれば作成スケジュール等の説明があるはずですので、その時に確認をしましょう。
不動産売買にかかる費用
不動産を売買する際には、物件の価格以外にも様々な費用が発生します。
売主と買主それぞれに必要な費用があり、取引を進める上で見落としがちな項目もあるため注意をしましょう。
特に、売主は物件の価格から税金以外の諸費用を差し引いた額が譲渡所得となるため、どれくらいの費用がかかるのかを把握しておくことが重要です。
ここでは、不動産売買にかかる費用について売主と買主に分けて詳しく解説していきます。
売るときにかかる費用
売却したときの利益は新たなマイホーム購入資金に充当したり、老後の生活資金を確保する目的で使われることが多いです。
しかし、売却をする際には諸費用がかかるため、売却したときの価格が全て売却益になるわけではありません。
物件を売却しようと考えている方はこれから紹介する諸費用を把握しておきましょう。
費用項目 | 内容 |
---|---|
所得税 |
・売却益に対して課税される税金 ・所有期間や取得方法によって5%~30%かかる |
住民税 | ・譲渡所得の30%が課税対象 |
印紙税 |
・不動産売買契約書に課税される税金 ・売買価格によって0.4%~1.5%かかる |
登録免許税 |
・不動産の所有権移転登記に課税される税金 ・売買価格に応じて税率が1.0%~1.5%かかる |
仲介手数料 |
・不動産会社に支払う手数料 ・売買価格の3%+6万円+消費税が上限 |
抵当権抹消費用 |
・抵当権を抹消するために必要な費用 ・抵当権の種類や設定状況によって数万円~数十万円程度 |
住宅ローン返済手数料 |
・住宅ローンを完済する場合に発生する手数料 ・抵当権抹消費用と合わせて、数万円~数十万円程度となります |
売却時に住宅ローンが残っている場合は、このタイミングで一括返済するのが一般的です。
なお、上記以外にも引っ越し費用やハウスクリーニング費用など、売却に伴う様々な費用が発生するので、売却を検討する際にはこれらの費用もしっかりと考慮しておきましょう。
買うときにかかる費用
物件を購入する時は物件価格以外にも様々な費用が発生します。
以下の表は、不動産を買う際にかかる主な費用項目とその負担者をまとめたものです。
この表を参考に、計画的に資金準備を進めていきましょう。
費用項目 | 内容 |
---|---|
印紙税 | ・不動産売買契約書に課税される税金 ・売買価格によって0.4%~1.5%かかる |
不動産取得税 | ・土地や建物を取得した際に課税される税金 |
消費税 | ・不動産購入時に課税される税金 ・新築物件の場合は課税対象、中古物件の場合は非課税 |
仲介手数料 | ・不動産会社に支払う手数料 ・売買価格の3%+6万円+消費税が上限 |
登記の依頼料 | ・司法書士に依頼する登記手続きの費用 |
手付金 | ・売買契約締結時に支払う金銭 ・売買代金の10%程度が目安 |
修繕積立金 ※マンションのみ |
・管理組合が管理 ・修繕に充てる費用 |
印紙は作成した契約書ごとに納付する必要があるので、原本を2通作った場合であればそれぞれに印紙税が発生します。
印紙税の負担先が売買契約書に記載されている場合はそれに従うことになるため、この限りではありません。
また、双方に発生する費用として仲介手数料も挙げられます。
仲介手数料は売主と買主の間に立って意見の調整や契約事務などを行った仲介業者に支払う手数料のことです。
物件価格によって金額が変化しますが、仲介手数料だけで100万円を超えることもある高額な費用になります。
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不動産売買契約の注意点
不動産売買は人生の中でも特に大きな取引の一つであり、多額の金銭が動くため、トラブルに巻き込まれるリスクも高くなります。
スムーズに取引を進めるためには、事前に契約の内容や注意点について理解しておくことが大切です。
ここでは、不動産売買契約を結ぶ際の主な注意点について解説します。
契約は簡単に解除できない
不動産売買は特に大きな取引になるため、売主と買主の信頼関係の上に成り立つ契約です。
そのため、一方的に契約を解除することが基本的にはできないようになっており、契約の解除をする方法が限られています。
契約の解除ができるパターンは以下の6ケースですので、気になる方は参考にしてください。
解除理由 | 内容 |
---|---|
クーリングオフ | ・一定期間内であれば、買主が一方的に契約を解除できる制度 ・違約金は発生しない |
手付解除 | ・買主が手付金を放棄することで、契約を解除できる制度 ・適用されるのは、契約締結後、相手方が履行に着手するまで |
危険負担による解除 | ・建物の滅失などにより、契約の目的が達成できなくなった場合に、契約を解除できる制度 ・契約書に定められた危険負担範囲内に該当する場合にのみ適用 |
契約不適合責任 | ・雨漏りや白アリ被害などの物件の瑕疵が発見された場合に、買主が契約を解除できる制度 ・瑕疵の種類や程度によって、解除できるかどうかが判断される |
特約による解除 | ・契約書に定められた特約に基づいて、契約を解除できる場合がある ・具体的な特約の内容は、契約書によって異なる |
合意解除 | ・売主と買主が合意すれば、いつでも契約を解除できる ・書面による合意が必要 |
解除の種類は多くありますが、できるタイミングや条件などは異なるため、それぞれしっかりと内容を理解をしておかなければなりません。
この中でもクーリングオフは条件などが細かいため、事前に確認をしておくと良いでしょう。
クーリングオフに関しては下記の記事で詳しく書いていますので、当記事と合わせて参考にしていただくと内容理解がより深まると思われます。
契約不適合責任には注意をしよう
契約不適合責任とは、雨漏りや建物の白アリによる腐食などのような物件の瑕疵が発見された場合に、売主が買主に対して負う責任のことを指します。
例えば、以下のようなケースでは売主が責任を負うことになるので注意が必要です。
目的物の種類 | 契約上の目的物と、実際に引き渡された目的物の品目が異なっていた |
目的物の数量 | 契約上定められた目的物の数量に対して、実際に引き渡された数量が過剰または不足していた |
目的物の品質 | 契約上定められた目的物の品質に対して、実際に引き渡された目的物の品質が劣っていた |
ただし、これは売主から事前に聞かされていなかったケースに限られ、契約内容などに書かれている事項には適用されません。
また、この責任の期間は買主が不都合を知ったときから1年以内と定められているため、その期間を超過した場合は契約不適合責任を追及できなくなります。
手付金の種類と相場を理解しておく
手付金とは契約締結時に支払う費用で「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3種類があり、不動産売買契約では一般的に解約手付として授受されます。
解約手付とは、契約を解除する際の違約金的な役割を果たす手付金のことです。
買主は既に支払った手付金を放棄することで売買契約を解除でき、売主は受け取った手付金の倍額を買主に返すことで売買契約を解除することができます。
手付金の相場は売却金額の5%から10%で、解約手付による契約解除ができるのは相手方が履行に着手するまでと定められているため、できるタイミングはしっかりと抑えておきましょう。
不動産売買でチェックしておくべきポイント
不動産売買は高額な取引になるため、契約前にしっかりとチェックしておくべきポイントがあります。
以下は主なチェック項目をまとめたものです。
- 売買物件の有無
- 物件の毀損していた場合の取り決め
- 手付金の取り扱い
- 土地の実測
- 所有権の移転と引き渡しの時期
- 付帯設備の状態
- 付帯設備の引き継ぎ
- 買主の負担の消除
- 公租公課等の精算
- 反社会的勢力の排除
- 債務不履行による契約解除の取り決め
- ローン特約
- 契約不適合責任
物件の状況や権利関係は、内覧時や重要事項説明の際に確認することが大切です。
ただし、確認すべき事項はこれだけではありません。
契約する際に疑問点があれば、不動産会社に納得できるまで確認をしましょう。
不動産売買契約におけるよくある質問
不動産売買の流れや注意事項などをまとめましたが、いまだ契約内容や手続きなどわからないことが多く、不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、不動産売買契約に関するよくある質問とその回答をまとめました。
これから紹介することを参考に疑問点を解消し、安心して取引を進めていきましょう。
もし、下記の項目以外でご不明な点がございましたら、弊社にお気軽にご相談ください。
弊社には月90組以上のお客様からご相談を受けてきた取引実績豊富な専門家が在中しているため、お客様の悩みやペースに合わせたご提案が可能です。
不動産売買契約書のコピーでも効力はある
不動産売買契約書のコピーでも法的効力は問題はありません。
不動産売買契約は売主と買主の合意の上で成立するものであるため、コピーであっても当事者同士の合意を証明できます。
ただし、不動産取引のような重要な取引では、当事者双方が原本を保持することが一般的です。
トラブル防止のためにも不動産売買契約書は2通用意し、売主と買主がそれぞれ原本を保管するようにしましょう。
買ってはいけない物件などはありますか?
住宅価格が高騰している中、新築よりも安価で手が届きやすい中古住宅に注目が集まっていますが、その中でも購入するべきではない物件があります。
例えば、再建築不可物件や要セットバック物件などです。
これらの物件は、住み替え予定や建て替えなどがなければ問題ありませんが、建て替えを行おうとした場合に問題が生じます。
再建築不可物件は、建築基準法の改正により現在の基準に適合しないため、建て替えができなくなってしまう物件です。
一方、要セットバック物件は建て替えの際に敷地を道路から後退させる必要があるため、敷地面積が減ってしまいます。
購入してはいけない物件については下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
売買契約はどこで行われますか?
不動産売買契約は取引される物件や不動産会社などで行われるのが一般的です。
中には当事者の都合に合わせてホテルのロビーで行われるケースや、書類を郵送して対面で行わないケースなどもあります。
ただし、郵送などのやり取りには時間がかかってしまうため、その間に当事者の気持ちが変わり、契約が不成立になってしまう可能性があるので注意が必要です。
参加者は通常、買主と不動産会社の担当者、宅地建物取引士の三名になります。
稀に売主が同席をする場合もありますが、基本的には同席をしないことの方が多いです。
不動産契約当日の流れと服装や持参するもの
不動産売買契約の所要時間は、約2時間から2時間半が一般的で、そのうち約1時間半は宅地建物取引士が行う重要事項説明です。
当日の持参物は、本人確認書類、実印、印鑑証明書、手付金、印紙代などになります。
契約当日の流れは以下のとおりです。
- 売主と買主の顔合わせと挨拶(売主同席の場合)
- 重要事項の説明
- 売買契約書の確認と記入・捺印
- 手付金の受け取り
- 不動産業者に仲介手数料を支払う
- 今後のスケジュール確認
服装に関しては普段着で問題ありませんが、あまりにもカジュアルすぎる格好は避けた方が無難でしょう。
襟付きのシャツやズボン、女性であれば綺麗めなワンピースなどのフォーマルな服装が望ましいです。
まとめ
不動産売買契約は、物件の所有権を移転する重要な取引になります。
契約の前には、物件の状態や権利関係、法的規制などを十分に確認し、売買代金や手付金、決済日などの契約内容についても納得した上で臨むことが大切です。
また、売主には契約不適合責任があることを理解し、買主は購入してはいけない物件の特徴を把握しておく必要があります。
不動産売買契約に関して疑問点があれば、不動産会社や司法書士などの専門家に相談すると良いでしょう。