住宅ローンのボーナス払いの平均額と割合!やめた方がいいと言われる理由をプロが解説
住宅ローンを組む際、「ボーナス払いを利用すべきか」「どのくらいの割合でボーナス払いをするのが適切か」と悩む方も多いのではないでしょうか。
ボーナス払いには、返済期間の短縮や総支払額の削減といったメリットがある一方で、ボーナスが減額された際のリスクも存在します。
そのため、実は人によってはボーナス払いはやめた方がいいことがあると言われている返済方法なのです。
この記事では、住宅ローンのボーナス払いの平均額や一般的な割合、メリットやデメリットを詳しく解説します。
また、ボーナス払いが向いている人の特徴や、ボーナス払いができなくなった時の対処法についても触れていますので、住宅ローンの返済計画を立てる際の参考にしてください。
住宅ローンでボーナス払いをしてる人の平均額や割合
住宅ローンの返済方法を考える時に、毎月均等返済かボーナス払いを利用するかの2パターンがあります。
しかし、ボーナス払いがどのような返済方法か分からないという方や、実際にどれくらい利用されているものなのか分からないという方は多いです。
そのため、今回はよくお客様にご質問される以下の4項目を紹介させていただきます。
- 住宅ローンでボーナス払いをしている人
- 住宅ローンにおけるボーナス払いが占める割合
- ボーナスの何%を住宅ローンの返済に回しているのか
- 通常月と比べてボーナス月はどれくらい増額しているのか
これから紹介する平均データや割合などを踏まえ、ボーナス払いを利用するべきかどうかを考えていきましょう。
住宅ローンでボーナス払いをしてる人は全体の約40%
住宅ローンの支払い方法で、ボーナス払いを選択している人は全体の約40%ほどいると言われています。
ボーナス払いを選択する主な理由は「資金に余裕がある時に返済したいから」というのが多く、毎月の支払額を抑えたいという人が多いようです。
ボーナス払いにもデメリットもありますが、余裕がある時に多めに支払うため、生活に支障が出にくいというのはボーナス払いの大きな利点でしょう。
住宅ローンでボーナス払いの平均は借入金の20%程度
ボーナス払いの上限額は各金融機関ごとに設定されており、借入金額全体の40%から50%以内を上限としているところが多いです。
例えば、借入金額が4000万円の場合は最大で1600万円から2000万円、6000万円の場合は最大で2400万円から3000万円がボーナス払いの上限となり、残りが毎月返済になります。
ボーナス払いの割合はこの上限の範囲内で自由に決めることができますが、無理のない割合なら借入金の20%程度に抑えるのがオススメです。
インターネットに掲載されている記事では30%や40%とされていることもありますが、あまり高く設定することはなるべく避けましょう。
ボーナスの支給額は景気などによって左右され、最悪のケースでは支給がされないこともあり得ます。
後から多めに払うことは可能ですが、払えない事態になると滞納という形になってしまうため、ボーナス払いの割合は無理のない範囲におさえておくことが重要です。
ボーナスの約30%を返済に回している
ボーナスのうち、どのくらいの割合を住宅ローンの返済に充てるかは、実際のボーナス支給見込み額から逆算して決めると良いでしょう。
実際にボーナス払いをしている人で多いのは、ボーナスの約30%ほどを返済に充てている人が比較的多いようです。
ただ、ボーナス払いの割合をあまり高く設定してしまうと、ライフスタイルの変化やライフイベントなどでお金が必要になった時に、生活が苦しくなってしまう可能性があります。
そのため、ご自身の「無理なく貯金も可能でボーナスの支給額が減った場合でも対応できる割合」というものを事前にシミュレーションなどで確認しておきましょう。
また、ボーナス払いの割合はライフスタイルによっても変わってくる部分ではあるため、ローンの完済まで割合を固定するのではなく、必要に応じて見直しを行うことも大切です。
ボーナス払い月の増額分は20万円が多い
ボーナス払いを利用している人の多くは、ボーナス払い月に20万円以上増額して支払っています。
この理由として、ボーナス払いは余裕のある時により多く払いたいという買主の気持ちが強く出る返済タイプだからです。
実際に20万円以上の増額を選んでいる人が最も多いですが、次いで多いのは10万円、5万円と段階的に少なくなっていくのも「余裕のある時に多めに払いたい」という理由が背景にあるからだと言えます。
毎月の返済額を抑えながらも余裕のある時にまとめて払いたい人にとってはボーナス払いは良い選択だと言えるでしょう。
しかし、ボーナス払いの増額分を多めに設定してしまうと、ボーナスが減額された場合に返済が難しくなるリスクがあるため注意が必要です。
住宅ローンのボーナス払いの仕組みを解説
ここまでボーナス払いに関するデータを見てきましたが、具体的にどのような仕組みなのか気になる方も多いのではないでしょうか。
ここからは、他の返済方法との違いやボーナス払いができなくなったらどうなるのかなども解説します。
それでは、ボーナス払いの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
毎月払いとボーナス併用払いの違い
住宅ローンの返済方法には、毎月同じ金額を返済する「毎月均等返済」と、半年に一度増額して返済をする「ボーナス払い」があります。
それぞれの違いを以下の表で比較してみましょう。
毎月均等返済 | ボーナス払い | |
---|---|---|
特徴 | ・返済額が一定で計画が立てやすい ・毎月の返済負担が大きい ・収入減少に対する柔軟性が低い |
・毎月の返済額を抑え、ボーナス時に増額して返済 ・ボーナスが減額や不支給の場合、返済が困難になる ・総返済額が増える可能性がある |
住宅ローンの平均返済額は毎月10万円から15万円弱と言われていますが、ボーナス払いを利用することで、ボーナス払い月以外の毎月の返済額を抑えることが可能です。
どちらが良いかはライフスタイルや考え方によって異なるため、どちらが良いかは人それぞれだと言えます。
ボーナス払いの引き落とし月は、ボーナスが支給される翌月に設定されることが一般的です。
夏のボーナスは8月、冬のボーナスは12月に支給されるため、ボーナス払いの引き落としは9月と1月に行われると考えておくとよいでしょう。
ボーナス払いと繰り上げ返済の違い
ボーナス払いと繰り上げ返済はどちらも住宅ローンの返済方法ですが、その効果には大きな違いがあります。
以下の表で、ボーナス払いと繰り上げ返済の違いを比較してみましょう。
ボーナス払い | 繰り上げ返済 | |
---|---|---|
特徴 | ・半年に一度、増額して返済 ・毎月の返済額を減らすことができる ・総支払利息の軽減効果はあまりない |
・通常の返済とは別に、任意のタイミングで元金を返済 ・総支払利息を軽減できる ・繰り上げ返済時に手数料がかかる場合がある |
繰り上げ返済は毎月の支払額に加えて元金を返済するため、ボーナス払いよりも返済する額が大きくなります。
また、繰り上げ返済の「返済額軽減型」とボーナス払いを混同している人が多いため、今回で違いを抑えておきましょう。
返済額軽減型は資金に余裕があるタイミングで繰り上げ返済を行うことができるのに対し、ボーナス払いは半年に1回、必ず増額分を支払う必要があります。
ボーナス払いは自動で増額分を返済し、繰り上げ返済は任意のタイミングで支払うとイメージしておくと分かりやすいかもしれません。
繰り上げ返済には手数料がかかる場合がありますが、ボーナス払いが負担に感じる方は、繰り上げ返済を検討してみるのもよいでしょう。
ボーナス払いができないと自宅を失う可能性がある
ボーナス払いができなくなるということはつまり「住宅ローンの支払いが滞る」ことになります。
滞納を続けると金融機関から督促状や催告状が送られてくるため注意が必要です。
以下の表は滞納が続いた場合の一般的な流れになります。
滞納期間 | 案内 |
---|---|
1ヶ月 | 電話やメールで入金案内 |
2ヶ月~3ヶ月 | 遅滞損害金が加えられた請求書 |
3ヶ月~4ヶ月 | 催告書 |
5ヶ月~6ヶ月 | 期限の利益損失(ローンの一括返済) |
6ヶ月~7ヶ月 | 代位弁済通知 |
8ヶ月~9ヶ月 | 金融機関が裁判所へ競売の申し立てを行う |
9ヶ月~10ヶ月 | 裁判所から競売手続きを開始したと通知が来る |
自宅が競売にかけられると一般の市場よりも安い金額で売却され、残債を一括返済するように請求されます。
このような事態を避けるために、返済が厳しいと思ったタイミングで売却を検討しましょう。
現在は不動産市場バブルと言われていて中古物件が高値でやり取りされているため、売り時だと言われています。
ボーナス払いを途中でやめると手数料がかかる
ボーナス払いを途中でやめる際には、金融機関や変更内容によって手数料がかかるケースがあります。
以下は、大手銀行のボーナス払いの変更手数料をまとめた表ですので参考にしてみてください。
銀行名 | 手数料 |
---|---|
三菱UFJ | 5,500円 |
みずほ | 11,000円 |
りそな | 11,000円 |
ボーナス払いの変更手続きは多くの場合、インターネットではなく店頭で受け付けています。
また、よく比較される繰り上げ返済も手数料がかかるのが一般的ですが、繰り上げ返済はインターネットで手続きをすると手数料が無料になる金融機関もあるようです。
そのため、ボーナス払いが負担に感じる人は通常の毎月払いに変更し、余裕があるときに繰り上げ返済をするという方法を検討してみるのもよいかもしれません。
住宅ローンのボーナス払い返済シミュレーション
住宅ローンでボーナス払いをする際はしっかりと収支シミュレーションを行い、毎月払いとの違いなどを抑えておく必要があります。
そのため、今回は以下の条件で、ボーナス払いの割合を変えた場合の返済シミュレーションを行いました。
- 返済期間: 35年
- 金利(年率):1.5%
- 借入額:4,000万円
- ボーナス払い:1年に2回
- 返済タイプ:返済額軽減型
ボーナス払い無しの場合と、ボーナス払いの割合を借入金の20%、30%、40%に設定した場合の結果を見ていきましょう。
ボーナス払い割合 | 毎月返済額 | ボーナス時返済額(1回分) | 総返済額 |
---|---|---|---|
なし | ¥122,473 | ¥0 | ¥51,438,616 |
20% | ¥97,979 | ¥147,317 | ¥51,463,080 |
30% | ¥85,731 | ¥220.975 | ¥51,475,364 |
40% | ¥73,484 | ¥294,634 | ¥51,487,514 |
毎月の返済額がボーナス払いがなしの場合と40%の場合を比較したらおよそ5万円弱の負担軽減ができていますが、一方で総返済額はボーナス払いのほうが5万円ほど高い結果となりました。
総返済額が増えた理由は後述しますが、結果を見ると、ボーナス払いの割合が20%あるだけで毎月返済額がかなり軽減できることが分かります。
ボーナス払い割合が高くなれば返済総額も増えていく
前述のシミュレーションから、ボーナス払いを行うと、ボーナス払いなしの場合と比べて総返済額が高くなることがわかりました。
総返済額が増える理由は、住宅ローンの利息が毎月の住宅ローンの残高を元に計算されるからです。
ボーナス払いを選択すると毎月の返済額が通常よりも抑えられますが、その分、住宅ローンの残高の減少ペースが遅くなります。
その結果、支払う利息の総額が増え、総返済額が高くなってしまうのです。
ただし、ボーナス払いによる総返済額の増加分は年間で見ると数百円程度になります。
このような増加分を上回るメリットを感じるのであれば、ボーナス払いを選択しても問題ないと言えるでしょう。
住宅ローンのボーナス払いのメリット
これまで住宅ローンのボーナス払いについて様々な角度から解説してきました。
全体の約40%の人がボーナス払いを利用しているというデータからも、多くの人がボーナス払いのメリットを実感していることがわかります。
では、利用者が感じるボーナス払いのメリットとはどのようなところなのでしょうか。
ここからは、そのボーナス払いのメリットについてさらに詳しく見ていきましょう。
月々の返済額が軽減される
ボーナス払いの最大のメリットは何といっても、月々の返済額を軽減できることでしょう。
以下の表は、物件タイプ別の住宅ローンの年間返済額を示したものです。
物件タイプ | 住宅ローンの年間返済額 |
---|---|
分譲戸建住宅 | 126.6万円 |
分譲集合住宅 | 148.1万円 |
中古戸建住宅 | 106.7万円 |
中古集合住宅 | 101.3万円 |
このデータから、毎月の返済額は10万円から12万円程度であることが分かります。
しかし、これに年2回のボーナス時に20万円を返済に充てれば、月々の返済額は約9万円に抑えることが可能です。
ボーナス時に増額分を返済し、その他の月では生活費に余裕を持つことができるのはボーナス払いのメリットだと言えるでしょう。
返済期間を短縮することも可能
ボーナス払いのもう一つのメリットは、返済期間を短縮できる可能性があることです。
繰り上げ返済の期間短縮型に似ていますが、大きな違いは、ボーナス払いでは自動的に増額分が支払われるところになります。
繰り上げ返済を計画的に行うのが苦手な人でもボーナス払いなら自動的に行われるため、より取り組みやすい返済方法だと言えるでしょう。
ただ、毎月の返済額などは一定であるため、前述した「毎月の返済負担額が軽減する」というメリットの効果は得られないため注意が必要です。
住宅ローンのボーナス払いをやめた方がいい理由とデメリット
住宅ローンのボーナス払いは、毎月の返済額を抑えられるメリットがある一方でデメリットも存在します。
また、人によっては「ボーナス払いはやめた方が良い」と言う方もいますが、なぜそのように言われているのでしょうか。
ここからは、住宅ローンのボーナス払いをやめた方が良いと言われる理由とデメリットについて詳しく見ていきましょう。
利息負担が毎月払いよりも多い
前述したとおり、住宅ローンのボーナス払いを行うと返済総額が毎月払いよりも多くなってしまいます。
住宅ローンの返済では、物件価格だけでなく、ローンの利息も同時に支払っていて、返済期間が長くなればなるほど増加するのが一般的です。
ボーナス払いは一般的に毎月の返済額を減らし、その分をボーナス時に支払うという返済スタイルなため、返済期間は毎月払いと変わりません。
つまり、毎月の返済額は減りますが支払う利息の総額は増えてしまうのです。
ボーナスの金額が下がったり支給されないと支払いが厳しい
ボーナスの支給額は会社の業績や個人の業績によって左右されるため、安定しているとは言えません。
そのため、想定よりも支給額が少なかったり支給されないケースも十分有り得て、そうなった場合、ボーナス払いの負担は非常に大きくなってしまいます。
住宅ローンは30年以上にわたる長期の支払いです。
その支払い方法に安定をしていない返済方法を選ぶのは、それなりのリスクを想定をしておかなければなりません。
現状、ボーナス払いが家計的に厳しいと感じる方がいれば、売却を検討するのも一つの手段です。
ただし、家を売却するにはタイミングを見計らう必要があり、下調べをせずに売却をしてしまうと損をしてしまう可能性があります。
より高く売却ができる家の売りどきの見極め方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ライフスタイルに変化があると返済しづらくなる
子どもの誕生による養育費や教育費の増加、転職によるボーナスの減額など、ライフスタイルに変化があった場合、ボーナス払いはその変化に対応しづらいです。
特にボーナス払いの増額分が多ければ多いほど、変化への対応が難しくなってしまいます。
例えば、借入額の40%程度をボーナス払いで支払おうと考えている方は、20年から30年先まで同様の支払いが可能かどうか、シミュレーションを行って確認しておくことが重要です。
また、ボーナス払いはライフスタイルの変化だけでなく、社会情勢の影響も受けやすいという側面があります。
実際に、新型コロナウイルスの影響で景気が悪化した際、ボーナス払いをしている人で「住宅ローンの返済額よりもボーナスの支給額が下回ってしまった」と話す人は少なくありませんでした。
このような背景から、ボーナス払いはやめた方がいいと言う方が増えてきたのだと考えることができます。
また、ボーナス払いを利用している人の多くはライフスタイルの変化が起こりやすい20代や30代の若い世代であるため、より慎重に選ばなければなりません。
住宅ローンのボーナス払いに向いている人
ここまで、ボーナス払いのメリットとデメリットについて詳しく解説してきました。
ボーナス払いには、毎月の返済額を抑えられるメリットがある一方で、利息負担が増えたり、ボーナスの減額や不支給のリスクがあるなどのデメリットもあります。
そのため、人によってボーナス払いの向き、不向きがあると言えるでしょう。
では、どのような人がボーナス払いに向いているのでしょうか。
ここからは、ボーナス払いに適した人の特徴について見ていきます。
公務員やインフラ事業などの安定した職業
ボーナス払いのデメリットの一つは、ボーナスの支給が安定しない場合、返済負担が大きくなることです。
そのため、ボーナスの支給が安定している職業や、社会情勢の影響を受けにくい業種に就いている人はボーナス払いに適しているといえます。
特に、公務員やインフラ事業に従事している人は、景気の変動に左右されにくく、ボーナスの支給も安定しているケースが多いです。
このような職業の人にとって、ボーナス払いは返済負担を軽減しつつ、計画的に住宅ローンを返済できる有効な選択肢と言えるでしょう。
年収が高い人
ボーナス払いに向いているもう一つのタイプは、年収が高い人になります。
これは、ボーナスの支給が安定しているからではなく、仮にボーナスが不支給になった場合でも十分な貯金や資金でカバーできるからです。
年収が高く、貯金額等に余裕がある人は、ボーナスの変動リスクに対する耐性が高く、万が一ボーナスが減額または不支給になっても、住宅ローンの返済を続けられる可能性が高いでしょう。
ただし、年収が高い人の場合、ボーナス払いよりも毎月の返済額に加えて繰り上げ返済を行う方が有効な場合もあります。
繰り上げ返済を活用することで支払利息を大幅に削減し、返済期間を短縮できる可能性があるからです。
どの返済方法が最も適しているかは個人の収入状況や将来設計などによって異なるため、専門家と相談を重ねて自分に合った返済方法を選ぶようにしましょう。
ボーナス払いに向いていない人
ボーナス払いの性質上、普段の支払額が抑えられているため、給与にインセンティブが大きく関わる営業職の人に向いていると言われることがあります。
しかし、これは一概には言い切れません。
営業職の場合、給与にインセンティブが大きく関わるため、年間の給与の増減幅が大きくなる傾向があります。
業績が良く、インセンティブが多い時には問題ありませんが、好業績が長く続くとは限りません。
そのため、営業職の人などはボーナス払いに頼らない方がかえって安全だと言えます。
ボーナス払いで失敗しないために重視するポイント
ボーナス払いの特性上、毎月払いよりも注意しておくべきポイントが多いのも事実です。
毎月の返済額を抑えられるというのは魅力的ですが、そこばかり注目をしていては思わぬところで失敗をしてしまうかもしれません。
ここからは、ボーナス払いで失敗しないために重視すべきポイントについて、詳しく見ていきたいと思います。
ボーナスがなくても支払い続けられる金額を設定する
ボーナス払いで失敗を避けるためには、ボーナスが減額または不支給になった場合を想定し、無理なく支払いを続けられる金額を設定することが重要です。
ボーナス払いは年に2回増額をして返済をする方法ですが、仮にボーナスがなくても通常の支払額に加えて増額分を返済できる範囲に抑えておくと家計的な負担はそこまで大きくなることはありません。
ただし、増額分を少なくしすぎると毎月の返済額が大きくなってしまいます。
そのため、ボーナス払いの増額分は、毎月の返済額とのバランスを考慮しながら適切な金額に設定するようにしましょう。
完済時年齢に気をつけて返済計画を立てる
ボーナス払いを選択する際は、完済時の年齢に注意して返済計画を立てる必要があります。
その理由は、定年退職後はボーナスの支給がなくなってしまうためです。
退職金で住宅ローンを完済する計画を立てている場合でも、実際の退職金が想定よりも少ない可能性を考慮しなければなりません。
さらに、年金で住宅ローンを支払い続ける場合、公的年金の支給開始年齢は原則65歳です。
60歳で定年を迎えると、年金の受給開始までの5年間は年金収入がありません。
老後に起こり得るこれらのリスクを考慮すると、返済計画は慎重に立てる必要があることがわかります。
返済計画の立て方について詳しく知りたい方は以下の記事で詳しく触れているため、参考にしてみてください。
適正価格の物件を購入する
ボーナス払いで失敗するケースの多くは、そもそも毎月の返済負担が高すぎる物件を購入していることが原因です。
そのため、自分の収入に見合った適正価格の物件を選ぶことが、ボーナス払いの成功率を高める要因になります。
物件の適正価格は年収倍率で表すことが可能です。
2022年度のフラット35利用者調査によると、新築マンションの年収倍率は7.2倍、中古マンションは5.9倍となっています。
この年収倍率を元に、年収300万円から700万円の方のマンション購入価格の目安を以下の表にまとめました。
年収 | 新築マンションの価格目安 | 中古マンションの価格目安 |
---|---|---|
300万円 | 2,160万円 | 1,770万円 |
400万円 | 2,880万円 | 2,360万円 |
500万円 | 3,600万円 | 2,950万円 |
600万円 | 4,320万円 | 3,540万円 |
700万円 | 5,040万円 | 4,130万円 |
これらはあくまで目安ですが、表の価格を大きく上回る物件の購入を検討している場合は、慎重に検討する必要があるでしょう。
適正価格の調べ方や、一人暮らしの方が購入すべき物件の特徴などについては以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
事前にボーナスの使い道を考えておく
ボーナス払いを利用すると、自由に使えるボーナスの金額は減ってしまいます。
そのため、ボーナスの使い道を事前に決めておくことが重要です。
一般的なボーナスの使い道には、以下のようなものがあります。
- 旅行
- 生活費の補填
- 趣味
- ローンの返済
- 投資・資産運用
- 家具や家電の購入
- 車などの購入費用
近年では、上記に加えてNISAやiDeCoなどへの投資も人気が高まっています。
住宅ローンの返済だけに意識が向いてしまうと、気がつけばボーナスが手元にほとんど残っていないという事態になってしまうかもしれません。
ボーナス払いを選択する際は、住宅ローンの返済と、他の使い道のバランスを考えながら、無理のない返済計画を立てましょう。
万が一のことに備えて貯金をしておく
住宅ローンを組む際、現金で支払う必要のある諸費用が実は多いです。
注文住宅や新築マンションでは物件価格の3〜6%、新築・中古一戸建てや中古マンションでは6〜9%が一般的な初期費用の目安とされています。
一般的な諸費用は以下の通りです。
- 頭金
- 手付金
- 仲介手数料
- 事務手数料や保証料
- 印紙税
- 登記費用
- 登録免許税
- 火災保険料
- 引越し費用
- 固定資産税
これらの初期費用に加えて、家具や家電なども現金で支払う必要があるため、できる限り支出を抑え、貯金を残しておくことが重要です。
ただし、最近では仲介手数料が無料になるケースや、家具や家電を住宅ローンに組み込めるオプションを提供する金融機関も増えてきました。
仲介手数料が無料になる理由や、家具や家電を住宅ローンに組み込む方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
住宅ローンのボーナス払いができなくなった時の対処法
現在、ボーナス払いをしていて家計が厳しい状態にある方や、ボーナス払いに興味を持ったけど、できなくなった時はどうしたらいいのか知りたい方もいると思います。
ただ、ボーナス払いができないという状況のほとんどは、これから紹介をすることで解消をすることが可能です。
ここからはボーナス払いができなくなった時の具体的な対処法について、詳しく見ていきたいと思います。
ボーナス払いの割合を下げて月払い額を増やす
ボーナス払いができなくなった場合、まず検討すべきなのはボーナス払いの割合を下げて月々の支払額を増やすことです。
ただし、ボーナス払いの割合を変更するには、再度審査を受ける必要があります。
万が一審査に通らなかった場合、ボーナス払いの割合変更は認められません。
また、金融機関によっては、変更手続きに手数料がかかる場合もあります。
事前に、住宅ローンを組んでいる金融機関に問い合わせて、手数料の有無や金額を確認しておきましょう。
ボーナス払いをやめて月々の返済のみにする
ボーナス払いの負担が大きすぎると感じる場合は、ボーナス払いをやめて、毎月の返済のみにする選択肢もあります。
住宅ローンの返済が既に始まっている場合でも、金融機関に申請することで「毎月払い+ボーナス払い」から「毎月払い」のみの返済方法に変更することが可能です。
会社の業績悪化や転職などによって、ボーナス払いが難しくなることが予想される方は早めに金融機関に相談するようにしましょう。
ただし、返済条件が変更されるため、こちらも再度審査を受けなければなりません。
また、返済方法の変更に手数料がかかるケースもあるため、金融機関に問い合わせを行い、手数料の有無や金額を確認しておくことをおすすめします。
ほかの金融機関で借り換えるのも手
上記の2つの対処法を実践してみたものの審査が通らなかった場合などは、借り換えを検討してみるのも一つの方法です。
住宅ローンの借り換えとは、新たな金融機関で住宅ローンを組み直し、既存のローンを一括で返済することを指します。
金利の低い住宅ローンに借り換えられれば、月々の返済額を削減できる可能性があるため、金利の高い時期に住宅ローンを組んだ方は借り換えを検討してみるのもよいでしょう。
ただし、借り換えは新たにローンを組むことになるため、改めて審査を受ける必要があり、借り換えには数十万円程度の手数料がかかる場合もあるため注意が必要です。
住宅ローンについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事でも詳しく触れているため、気になる方は参考にしてみてください。
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住宅ローンのボーナス払いについて、注意点や対処法などを詳しく解説してきました。
ボーナス払いを上手に活用することで、毎月の返済負担を軽減できる一方、ボーナスの減額や不支給のリスクにも備えておく必要があります。
弊社では住宅ローンプランに強い専門のスタッフが、無料でご相談にお答えいたします。
住宅ローンでお悩みの方はお気軽にご相談ください。
松浦玉枝税理士事務所
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東京税理士会所属。準大手税理士法人で約10年の経験を積み、2023年に品川区で独立開業。
法人や個人に対し幅広い税務サービスを提供。クライアントのニーズに柔軟に対応することをモットーとしている。
プライベートでは2児の母。