自営業・個人事業主は住宅ローンが通らない?審査のポイントと対処法を解説

自営業・個人事業主は住宅ローンが通らない?審査のポイントと対処法を解説

更新日:2025.04.03

自営業や個人事業主は、会社員と比べると住宅ローンの審査が通りにくい傾向があります。
「開業したばかりだけど申し込める?」「収入が不安定だけど、大丈夫?」
そんな疑問や不安を持つ方も多いでしょう。

本記事では、審査で重要視されるポイントや、フラット35の活用法、審査に通りやすくなるための対策をわかりやすく解説します。
住宅ローンを検討している方はぜひ最後までご覧ください。

住宅ローン審査が厳しくなる理由と審査のポイント

ここでは、自営業や個人事業主の住宅ローン審査が厳しくなる理由や、金融機関が審査でチェックするポイントについて詳しく解説します。

なぜ自営業・個人事業主は審査が厳しいのか

会社員の場合、勤務先が安定した給与を支給しているため、継続的な所得があることを証明しやすくなります。
しかし、自営業者や個人事業主の場合、所得が事業の業績に大きく左右されて年度ごとに変動することが多いため、将来にわたる安定性を示すことが難しくなります。

そのため、金融機関は返済能力を慎重に判断し、より厳しい基準を適用することがあるのです。
特に開業から間もない場合や、所得の変動が激しい場合は、審査が一層厳しくなることが多いです。

住宅ローンの審査で見られるポイント

自営業や個人事業主が住宅ローンの審査に通るためには、審査基準を理解し、適切な準備をすることが大切です。
ここでは、審査時に特にチェックされる重要な項目について解説します。

所得は安定しているか

自営業や個人事業主の場合、会社員のような固定給がないため、金融機関は過去の所得実績をもとに審査を行い、安定した所得が継続的に得られるかを重視して審査します。

一般的に、3期連続で黒字を維持していることが求められ、平均所得が一定水準を超えているかも判断材料となります。
また、金融機関によっては、過去3期の中で最も所得が低い年を基準とする場合もあります。
事前に審査基準を確認し、安定した所得を示せるよう準備しましょう。

自己資金はいくら用意できるか

住宅ローンの審査では、自己資金(頭金)の有無が重要視されます。
頭金が多いほど借入額が減るので、審査に有利に働く可能性があるのです。

特に、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)は重要な指標で、これが高すぎると審査に通りにくくなります。
返済負担率は、「年間返済額÷年収×100」で計算され、一般的には20〜25%以下が望ましいとされています。

また、自己資金が多いと、資金管理能力があると判断され、審査時の評価が高まることもあります。

税金や社会保険料はきちんと支払っているか

会社員の場合、給与から税金や社会保険料が天引きされるため、未納の心配は少ないですが、自営業や個人事業主は自分で納付する必要があるため、支払いを忘れてしまうケースも考えられます。

金融機関は、税金や社会保険料を適切に納めているかをチェックします。
もし未納がある場合は、返済の遅延リスクが高いと判断して、住宅ローン審査に悪影響を及ぼすことがあります。
住宅ローンを申し込む前に、未納がないか確認し、必要に応じて支払いを済ませておきましょう。

健康状態に支障はないか

住宅ローンを利用する際、多くの金融機関では「団体信用生命保険(団信)」への加入を求められます。
団信は、契約者が死亡または高度障害になった場合、残りの住宅ローンを保険金で完済できる制度です。

しかし、持病や既往症がある場合、団信に加入できず、住宅ローンの申し込みが難しくなることがあります。
健康状態に不安がある方は、加入条件を事前に確認し、場合によっては団信への加入が不要な住宅ローンを検討することも選択肢の一つです。

クレジットカードや他のローン履歴に問題はないか

住宅ローンの審査では、個人信用情報が照会され、申込者のクレジットカード利用履歴やローンの返済状況がチェックされます。
もし、過去に支払いの遅延や滞納があった場合、審査に影響を及ぼす可能性があります。
特に、延滞が長期間続いたり、債務整理を行った履歴がある場合は、審査が通りにくくなることが考えられます。

心配な方は、信用情報を開示請求し、事前に状況を確認しておくことをおすすめします。
適切なクレジット管理を行い、信用情報を良好に保つことが重要です。

自営業・個人事業主が住宅ローン審査に通るための対策

自営業・個人事業主が住宅ローン審査に通るための対策

自営業や個人事業主が住宅ローンを借りるためには、金融機関が求める条件を満たし、審査に通りやすい状況を作ることが大切です。
ここでは、審査通過のために実践すべき対策を解説します。

節税をしすぎず、所得を適切に申告する

自営業や個人事業主は節税のために経費を多く計上し、所得を低く申告することが一般的ですが、住宅ローンの審査ではこれが不利になる可能性があります。
金融機関は所得額を基準に返済能力を評価するため、所得が少なすぎると審査が厳しくなる傾向があるからです。

住宅ローンを申し込む際は、必要以上に経費を計上せず、適正な所得額を申告することが重要です。
一時的に税負担が増える可能性はありますが、安定した所得を示すことで審査通過の可能性が高まります

借入を減らし、他のローンを完済する

住宅ローンの審査では、マイカーローンやカードローン、事業用資金などの借入状況も重要な判断材料となります。
借入件数や金額が多いと審査に不利に働く可能性があるため、事前に借入状況を整理しておくことをお勧めします。

金融機関のリスク評価を下げるためにも、住宅ローンを申し込む前に可能な限り既存の借入を完済することが望ましいでしょう。
完済が難しい場合でも、借入件数や金額を減らすことで、審査通過の確率を上げることができます。

普段から取引している金融機関を選ぶ

住宅ローンの審査では、普段から取引のある金融機関を利用すると有利に働くことがあります。
特に事業経営者の場合、メインバンクとして付き合いのある信用金庫や地方銀行への相談が効果的です。
金融機関は「申込者との取引状況」を重要な審査項目の一つとしており、長年の取引実績は信用力の向上につながります。

また、取引実績のある金融機関では、審査条件の緩和や金利の優遇を受けられる可能性もあるため、まずは相談してみることをお勧めします。

フラット35を活用した住宅ローンの申し込み方法

フラット35を活用した住宅ローンの申し込み方法

審査が厳しい自営業や個人事業主でも、比較的利用しやすい住宅ローンがフラット35です。

フラット35とは?

ここでは、フラット35の特徴や仕組みについて詳しく解説します。

一般的な住宅ローンとの違い

フラット35は、住宅金融支援機構と提携した民間の金融機関が提供する住宅ローンです。
一般的な住宅ローンは、民間の金融機関が独自の審査基準を設けていますが、フラット35は全国統一の基準で審査が行われる点が特徴です。

所得の審査対象は直近1期分のみでOK

フラット35では、審査対象となる所得が直近1期分のみとなっているため、一般的な住宅ローンよりも柔軟な審査が期待できます。
一般的な金融機関では、3期連続の黒字を求められることが多いですが、フラット35なら直近の所得が改善した方や、開業から3年未満の方でも申し込めます。

団体信用生命保険(団信)は任意加入

多くの金融機関では、住宅ローン契約時に団体信用生命保険(団信)への加入が必須ですが、フラット35では任意となっています。
団信は、万が一の際に住宅ローン残債を保険金で支払う制度で、健康状態によっては加入が難しい場合もあります
フラット35では団信なしでも契約可能なため、持病がある方や、生命保険で代用したい方にとって選択肢が広がるのが特徴です。

全期間固定金利のメリットとデメリット

フラット35の特徴の一つが、全期間固定金利です。
契約時に返済額が確定するため、将来の金利変動に左右されず、長期的なライフプランを立てやすいのがメリットです。
一方で、変動金利型に比べて金利が高めに設定されているため、市場金利が下がった場合には不利になる可能性があります。
金利の動向を考慮しながら、自身の資金計画に合った選択をすることが重要です。

2025年の最新情報

2025年度から、すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられます。
これに先駆け、2023年4月以降のフラット35では、次の(1)か(2)のいずれかの省エネ基準を満たしていることが融資の条件となりました。

(1)断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上
(2)建築物エネルギー消費性能基準(別途、結露防止措置の基準あり)

省エネ基準の厳格化が進むため、フラット35を申し込む際には適合状況を事前に確認することが重要です。

フラット35の申し込み時に必要な書類

フラット35を申し込む際には、借入申込書や所得証明書など、いくつかの書類を用意する必要があります。

①借入申込書

フラット35の申し込みには、取扱金融機関が用意する「借入申込書」が必要です。
また、それ以外に返済が必要な借入がある場合は、「今回の住宅取得以外の借入内容に関する申出書(兼 既融資完済に関する念書)」も提出する必要があります

②所得を証明する書類

所得を証明する書類として、直近2年分の公的収入証明書が求められます。
給与所得者の場合は、「特別徴収税額の通知書」や「住民税納税通知書」、「住民税課税証明書」などが該当します。
一方、自営業や個人事業主の場合は、「確定申告書の写し」や「納税証明書(所得金額用)」が必要となります。

③建設費を確認する書類

建設費が確認できる書類として、「建物の工事請負契約書の写し」が必要です。
もし申し込み時点で契約書が用意できない場合は、見積書で代替できるケースもありますが、資金受け取りの手続き前には正式な契約書を提出する必要があるため、早めに準備しておきましょう。

また、土地の取得費を含めて融資を受ける場合は、「土地売買契約書の写し」や、「土地取得費の確認書類」も必要になります。

④土地の登記事項証明書

フラット35の申し込みには、「土地の登記事項証明書の写し」の提出が求められます。
​​登記事項証明書とは、不動産の所有者や過去の登記の変更履歴など、その土地に関するさまざまな情報が記載された書類で、法務局が管理しています
証明書は、2か月以内に発行されたものが必要で、登記所や法務局証明サービスセンターの窓口で取得できます。

フラット35を利用する際の注意点

フラット35は自営業や個人事業主でも利用しやすい住宅ローンですが、資金計画や審査基準には注意が必要です。

自己資金を増やして返済負担率を適正に保つ

住宅ローンの審査では、返済負担率(年間返済額÷年収×100)が低いほど有利になります。
そのため、なるべく自己資金(頭金)を準備して返済負担率を下げることが重要です。
自己資金を増やして借入金額を減らすことは、審査に通りやすくなるだけでなく、金利や返済計画の面でも有利になる可能性があります

審査に落ちる典型的なパターンを避ける

住宅ローンの審査では、所得に対する返済負担率が高い場合や、物件の担保価値が低い場合は審査に落ちるリスクが高まります。
特に、自営業や個人事業主は所得を基準に審査されるため、売上が高くても所得が低ければ審査に通りにくい傾向があるので、注意が必要です。

また、事業用の借入が多い場合や、クレジットカードやローンの滞納履歴がある場合も審査に不利になります。
事前に個人信用情報を確認し、負債を整理しておくことで、審査に通る可能性が高くなります

住宅ローン審査に不安がある場合の対策

住宅ローンの審査に不安を感じる自営業や個人事業主の方は、さまざまなアプローチを検討することが大切です。
自分に合った方法を見つけ、審査通過の可能性を高めましょう。

フラット35以外の選択肢も検討する

フラット35の審査が難しい場合は、自営業や個人事業主向けの住宅ローンを提供している金融機関を検討するのも一つの方法です。
書類上の所得だけでなく、中長期的な事業計画や世帯全体の資産状況などを考慮して審査を行うことがあります。

特に、日頃から取引のある金融機関なら、経営状況を含めた柔軟な対応をしてもらえる可能性があります。
フラット35以外の選択肢も視野に入れ、自分に合った住宅ローンを見つけましょう。

金融機関に相談する

住宅ローンの審査に不安がある場合は、早めに金融機関の担当者に相談するのが有効です。
近年では、オンライン相談を受け付けている金融機関も増えており、自宅から気軽にアドバイスを受けられるケースもあります

審査基準や借入可能額について確認し、納得した上で申し込むことで、不安を解消しながら住宅ローンの準備を進めましょう。

自営業・個人事業主によくある住宅ローンの質問

自営業・個人事業主によくある住宅ローンの質問

住宅ローンの審査について、自営業や個人事業主の方が疑問に思うことは多いでしょう。
ここでは、よくある質問に対して詳しく解説します。

Q1:赤字の年があっても住宅ローンは組める?

自営業や個人事業主の住宅ローン審査では、直近の決算が赤字だと審査が厳しくなる傾向があり、審査に通らない可能性が非常に高くなります。
金融機関は安定した所得を重視するため、赤字が続くと返済能力への懸念が生じるからです。
そのため、審査に申し込む前に収支を改善し、黒字決算を目指すことをお勧めします。

Q2:1年未満の業歴でも住宅ローンは通る?

業歴が1年未満の場合、所得の安定性が判断しにくいため、住宅ローンの審査に通るのは難しい傾向があります。
金融機関の多くは、一定期間の事業継続実績を重視しており、直近3年分の確定申告書を求めるケースが一般的です。

ただし、フラット35のように業歴を厳密な審査基準としていない住宅ローンも存在します。
たとえば、2024年に開業した場合、フラット35では2025年1月以降から申し込み可能となります。
その場合は、2024年の所得を日割計算し、1年分に換算した金額を年間所得として審査対象とします。
そのため、業歴が短い場合でも、適切な住宅ローンを選べば審査のチャンスはあると言えるでしょう。

Q3:頭金なしでも審査に通る?

近年では、頭金なし(フルローン)で住宅ローンを組むケースも増えています。
ただし、頭金を用意しない場合、審査基準は厳しくなります。
特に自営業や個人事業主はもともと審査が厳しいため、頭金なしでは不利になる可能性が高いです。

また、借入額が増えることで返済負担が重くなるリスクもあります。
審査に通りやすくするためにも、少しでも頭金を用意するのが理想です。

まとめ

自営業や個人事業主が住宅ローン審査に通りやすくするためには、安定した所得の確保が不可欠です。
また、十分な自己資金の準備や税金や社会保険の適切な納付、各種ローンの滞納がないことなども重要な要素となります。
審査基準を事前に理解し、必要な対策を講じることで、審査通過の可能性は大きく高まります。
特に、フラット35は自営業や個人事業主でも利用しやすい住宅ローンの一つです。
自分の状況に合った金融機関を選び、必要な準備を着実に進めることで、住宅購入の夢に一歩近づくことができるでしょう。