マンション投資の失敗事例を基にリスク対策と成功率が上がるポイントを解説
マンション投資はサラリーマンでも始めやすい投資だと言われており、人気の高い不動産投資です。
そんなマンション投資ですが、実は成功率が低く、儲からないとも言われているのはご存知でしょうか。
始めやすいからこそ、リスクを正しく理解しないまま始めてしまう人が多いのです。
しかし正しい知識と理解を深めることで、マンション投資の成功率は格段に上がります。
この記事ではマンション投資の実例を元に、失敗をしないための方法やコツをご紹介します。
マンション投資で儲からない事例
マンションは地域や立地による需要の変動が大きく、将来的な見通しを検討するが必要があります。
まずはマンション投資で儲からなかった事例を見ていきましょう。
大都市圏や地方に投資する際の注意点なども紹介しているので参考にしてみてください。
都内の新築マンションに投資
新築マンション投資では、新築プレミアムが消失し市場価格が下落するので注意が必要です。
購入時には3000万円ほどだった物件が売却時には1800万円ほどになっており、1000万円以上の損失になったケースも。
保証家賃の引き下げにより、売上額が毎月の返済額より下回ってしまうケースもあります。
新築マンションは元の値段よりも低くなるケースも考慮し、リスクを意識して投資しましょう。
東京都心は空室リスクは低いが利回りが低い
東京都心部はビジネスや教育の中心地として常に高い需要があり、人口の転入超過が日本で一番多いことから空室リスクが他県と比べて低いです。
しかし、2023年の首都圏の利回りは6.3%と全国平均の7.02%を唯一下回っている地域であり、投資額の回収をする期間は他の期間よりも長くかかるでしょう。
とはいえ、東京都心のマンションの価格は年々上昇をしている状況で、2023年では2,024万円と全国平均の1,738万円よりも約250万ほど高く、キャピタルゲインを狙うには都心部のマンションはうってつけです。
総務省が出したデータでは、今後も東京の人口は増加をしていくと予測されているので、長期的な資産運用や短期的にキャピタルゲインを目指す投資家にとって東京都心は安定した投資先だと言えるでしょう。
大阪や名古屋の都市圏はエリア人口を注意して投資をしよう
大阪や名古屋などの大都市圏は、場所によって人口減少や経済活動の縮小が見られることがあります。
総務省が発表したデータによると、東京圏では12万6515人の転入超過ですが、大阪圏では559人の転出超過、名古屋圏では1万8321人の転出超過でした。
2045年までに全都道府県で人口減少が起こるとされていますが、大阪や名古屋の人口減少のタイミングは東京よりも早く訪れ、その減少幅も大きいです。
しかし大阪はインバウンドが好調で、カジノなどを誘致する候補地にもなっており、名古屋ではリニア新幹線の開業が2027年を目指して工事が進められています。
そのため一概に投資する都市圏として不利になるとは言えません。
利回りの点でいえば、東京よりも比較的物件価格が安い大阪や名古屋の方が高いです。
大阪や名古屋へ投資する際は、投資するエリアや将来的な人口動向、経済状況を細かく分析することが必要となってきます。
地方は特定企業に依存している場合注意が必要
地方での不動産投資のメリットは物件の利回りと、競合が少ないことです。
ただし地方では、特定の企業や産業に依存している場合があるので注意が必要になります。
そうしたケースでは、企業の倒産や業績の悪化が地域経済を低迷させ、結果的に空室率の上昇や賃料の低下につながることがあります。
地方で投資先を探す場合は、都市部への通勤圏内や県庁所在地内の調査を優先的に行いましょう。
築古のマンションに投資
新築のマンションと比較して、物件価格が安く、利回りが高いことはとても魅力的です。
しかし、修繕費用や入居者の獲得が難しいことから、思ったような収益が得られないケースがあります。
築年数が古い場合は、家賃を下げても入居者を集めることが難しくなり、物件の立地が悪い場合は売却をするのも難しいでしょう。
築古マンションへの投資をする際は、利回りの高さだけに注目せず、どれだけの修繕費用が必要なのか、安定した収益を得ることができるのかを意識してみてください。
サブリース会社を過信するのは危険
サブリース会社を利用する際は、そのリスクも理解しておく必要があります。
ここでのサブリースとは、大家さんが行うような業務を代わりに会社が行い、空室や家賃収入がない場合でも一定の家賃収入が保証されるという契約のことです。
このサブリース契約でのリスクとして以下のようなことが挙げられます。
- 保証される家賃額の値下げ
- 自主管理よりも収入が低い
- 契約期間中売却することができない
また、サブリース会社が倒産をしてしまった場合は、オーナーは家賃収入を得ることができません。
そうなった場合は、入居者に事情を説明する負担や、直接家賃を請求するための手続きなどを行う必要が出てきます。
知識不足による損失
マンション投資で失敗する事例のほとんどは、知識不足による損失だと言えます。
物件を購入する前には、以下のことに注意して購入を検討してください。
- 人気エリアや、地域の将来性の調査
- 該当エリアには家族連れが多いのか個人が多いのかの調査
- 購入予定の物件は適切な価格かどうか
- リフォーム費用や管理費を含めた資金計画
- 空室リスクや入居者トラブルを避けるための対策方法
- 市場の動向や物件の条件に合わせた適切な賃料の設定
- 信頼できる管理会社を選ぶ
これらの調査やシュミレーションを疎かにしてしまうと、大きな損失に繋がりかねません。
物件価値への評価を誤ってしまい過剰な価格で購入してしまうと、スタートから数百万〜数千万円の損失になってしまいます。
投資をする前にはしっかりとした準備と継続的に学ぶ姿勢が必要です。
マンション投資のメリット
マンション投資は、成功例や失敗例などの実例がインターネットに数多く掲載されているので、効果的なリスク管理の知識を自分で身につけることができます。
マンション投資のメリットをいくつかご紹介するので、マンション投資を検討している方は参考にしてみてください。
金融機関の融資を受けやすく、少ない資金で始めやすい
マンション投資は一戸ないしは複数戸のみを購入するので、一棟投資に比べて少ない自己資金で投資を始めることが可能です。
これは、これから投資を始めてみようとする初心者にとって大きなメリットとなります。
また、初期投資が少なくて済むため金融機関の融資を受けやすいのも特徴の一つです。
健美家がまとめた「不動産投資レポート2024年02月」によれば、区分マンションの価格が右肩上がりなのが見て取れます。
価格が上がると購入しづらくはなってきますが、これは人気が集まっているという見方も可能です。
多くの資金を用意できないという人でも、フルローンで投資を始められるケースもあるので、自己資金ゼロから物件を購入することができます。
2024年現在であっても、マンション投資は初心者が始めやすい投資であるのは間違いないでしょう。
入居者が居続ける限り安定的な収入を確保できる
マンション投資の大きな魅力の一つは、入居者が居続ける限り安定的な収入を確保できる点にあります。
回収期間を計画的に設定することで、長期的な資産運用を行うことが可能です。
そのため、どのようにして入居率を上げ、継続率を高めるかがマンション投資の成功にとって重要なポイントとなります。
流動性リスクが低いので出口戦略で売却も可能
マンション投資は流動性リスクが比較的低いのも特徴の一つだと言えるでしょう。
アパートやマンションの一棟を丸ごと売却をするよりも、一戸や複数戸であるなら買い手は付きやすいです。
そのため、出口戦略を立てやすく、投資期間中に不動産市場の価値が上昇した場合売却することも可能となります。
もちろん、売却を視野に入れて購入する場合は、買い手が付きやすいエリアを選ぶのが重要です。
利回りが高い地方では買い手がつきにくく、流動性リスクが低いとは言えないため注意が必要となってきます。
忙しい人でも管理を任せることができる
マンション投資は忙しい人にとっても魅力的な投資先です。
管理会社や賃貸管理サービスを活用することにより、物件の日常管理や入居者からの問い合わせ対応といった所有者の負担を大幅に軽減することができます。
特に多忙な会社員や、不動産管理に関する専門知識がない人にとって大きなメリットだと言えるでしょう。
また、マンション投資では、建物全体の管理に関わる必要がありません。
このことから管理の手間が省かれ、日常生活における負担を最小限に抑えることができます。
ただし前述したとおり、勉強不足は思わぬところで損失を出してしまう可能性があるので任せきりは避けた方が良いでしょう。
管理を任せて空いた時間を投資の勉強にあて、リスクへの対策を練ることをおすすめします。
マンション投資のデメリット
初心者でも始めやすくメリットの多いマンション投資ですが、もちろんデメリットもあるのが事実です。
今回はそんなデメリットの中でも「マンション投資が儲からない」と言われている理由になっているものをいくつか紹介します。
儲からない事例で紹介をした通り、損失の多くは勉強不足によることが多いです。
これらのデメリットを正しく理解をし、マンション投資での成功率を上げましょう。
空室リスクが高い
不動産投資で収益を上げ続けるためには、物件の空室状態が続くのは極力避けるべきです。
これはマンション投資だけに限った話ではありませんが、空室となると収入がその分だけ減ってしまいます。
一棟投資の場合は、空室が一室や二室できても収入が途絶えることはありませんが、マンション投資の多くは一戸で所有しているケースが多いため、空室になってしまうと収入が0%になってしまいます。
また総務省の人口推計では、日本人の人口は2015年から2023年の間で人口が400万人減少していることが分かり、今後も人口が増えるという目処は立っていません。
とくに賃貸のマンションのメインターゲットである20代〜30代の人口減少が顕著なので、空室リスクの対策はマンション投資の課題の一つと言えるでしょう。
老朽化による家賃下落リスクがある
マンション投資において、老朽化による家賃下落リスクは特に注意が必要です。
入居希望者が求める最新の設備や機能を満たしていない物件は、最新の物件との競争力で負けてしまいます。
競争に負けると、市場での家賃水準を維持することが難しくなり、家賃を下げなければなりません。
家賃を下げても入居者が見つからない場合は、収益性がさらに悪化してしまいます。
これは中古マンションだけに限った話ではありません。
購入した物件が新築マンションの場合は、購入時は新築というアドバンテージがあるため、比較的高い家賃で貸し出すことが可能です。
しかし、築年数が経ってくると資産価値はどうしても下がってきてしまいます。
老朽化が進んだ物件は修繕リスクも上がり、思った金額で売却できない可能性が高いです。
実質利回りが低く投資資金を回収するまでに時間がかかる
不動産投資は運用期間が長く、短期間で得る利益が少ないのが特徴です。
ローンの返済や税金の支払いに加え、管理費や修繕積立金の負担、空室リスクを考慮すると利回りは当初の見込みよりも低くなるでしょう。
しかし、ローン完済後は返済がなくなるため、利回りが上昇し収益性が格段に上昇します。
また前述したとおり、マンション投資は出口戦略で売却も可能です。
どの時点で損益分岐点を超えるのか、保有し続けても利益を生み出すことができるのかなどを見極めることが重要になってきます。
収支シミュレーション際に抑えておくポイント
まずこちらのシュミレーションをご覧ください。
- 価格:2,800万円(頭金15万円)
- 返済期間:35年
- 金利:1.5%
- 家賃:98,000円(経年で下落)
- 管理費・修繕積立金:9,500円(経年で値上げ)
年数 | 月額収入 | 月額支出 | 月額収支 |
---|---|---|---|
0年 | 98,000円 | 94,772円 | 3,228円 |
5年 | 95,000円 | 94,972円 | 28円 |
10年 | 92,000円 | 95,172円 | -3,172円 |
15年 | 89,000円 | 95,372円 | -6,372円 |
20年 | 86,000円 | 95,572円 | -9,572円 |
25年 | 83,000円 | 95,772円 | -12,772円 |
30年 | 80,000円 | 95,972円 | -15,972円 |
35年 | 77,000円 | 95,972円 | -18,972円 |
このシミュレーションは実際の数値とは異なり、数値をいくらか簡略化したものです。
見ていただくと、初年度や5年目まではかろうじて収支がプラスでしたが、購家賃収入が徐々に下がり、管理費・修繕積立金が上昇することで、長期的には月額収支が悪化していきます。
月々の返済額は変わらず、家賃が低下し、管理費が上昇するからです。
マンション投資で失敗している方の多くは、このような家賃収入の低下や管理費の上昇を加味せず、シュミレーションを行っていることがあります。
マンション投資の収支シミュレーションを行う際には以下のポイントを抑えましょう。
- 初期投資費用(物件購入費、仲介手数料、諸経費等)の総額。
- 月額の収入(家賃収入)と、それに対する空室リスク。
- 定期的な支出(管理費、修繕積立金、固定資産税・都市計画税等)の見積もり。
- 老朽化に伴う家賃下落リスクと、それが収益に与える影響。
- 実質利回りの計算と、投資資金の回収期間の見積もり。
マンション投資の収入は家賃収入のみですが、支出の種類は多く、不定期で発生するエアコンなどの付帯設備の交換もあります。
マンション投資で儲かるためには、このシュミレーションのトータル収支がプラスにならなければなりません。
どのような支出があるのかを把握し、シュミレーションを行ってみましょう。
マンション投資で成功率を上げるために行うべきこと
マンション投資で成功を収めるためには、リスクを最小限に抑え、いかに資産価値を増大させるかが重要になってきます。
これから紹介する成功率を上げるための戦略を参考にし、マンション投資の成功率を上げましょう。
キャピタルゲインを狙った短期的な投資
売却して利益を出すキャピタルゲインを目的に短期投資をしてみるのも一つの手です。
物件を長く所有していると、修繕費用などがかさみ、収益が出なくなる恐れがあります。
将来的な地価の上昇や人口動態、再開発などを意識して投資をする必要がありますが、これらを意識することで今後の投資先を選ぶ目を養うことが可能です。
人口減少が著しい日本では最初からキャピタルゲインを狙った投資の方が成功率が高い投資方法と言えるでしょう。
分散投資でマンション投資以外の投資
マンション投資のリスクを軽減し、収益性を高めるためには、分散投資をおすすめします。
空室による収益が0か100しかないというリスクを分散させ、収益の安定性を確保するのが狙いです。
世帯数が確保できる賃貸アパートなどへの投資をすることで、マンション投資が不振を迎えたとしても、不動産投資全体の損失を抑えることができます。
投資の成功率を高めるために、マンション投資への理解を深め、信頼できる不動産会社を探して分散投資に挑戦してみましょう。
新築よりも中古の方がおすすめ
マンション投資は、新築物件よりも中古物件への投資がおすすめです。
中古マンションは新築マンションに比べ初期投資費用を低く抑えられるため、投資初心者や資金力の限られた投資家でも購入することができます。
地域 | 新築平均価格 | 〜築10年の平均価格 |
---|---|---|
東京都区部 | 11,483 | 8,299 |
神奈川県 | 6,069 | 5,650 |
埼玉県 | 4,870 | 4,772 |
千葉県 | 4,786 | 4,320 |
一方で、新築マンションには新築プレミアムといって、中古マンションの賃料よりも高く設定することが可能です。
しかしながら、この新築プレミアムは人が一度住んで、退去した後は中古になってしまうため効果が薄れてしまいます。
周辺の物件の賃料よりも高い値段を設定されているため、入居者が退去する可能性も高く、新築プレミアムを売りにするマンション経営は、中長期的に不利と言えるでしょう。
周辺環境も調査
マンション投資を成功させるためには、物件の立地や周辺環境の詳細な調査が欠かせません。
都心部や駅近くの物件は、通勤や通学の利便性から高い需要が見込まれるため、安定した賃貸需要を確保しやすく空室リスクを低く抑えることが可能です。
また、駅から近い物件は周辺の生活インフラが整っているケースが多く、入居者にとっても魅力的な条件となります。
ただし、都心部や駅近の物件は価格が高い傾向にある点も念頭に置く必要があるでしょう。
周辺の調査を行う場合は現状の状態だけではなく、将来の開発計画(例えば大型ショッピングモールの建設など)近い将来に予定されている地域の変化も考慮して調査を行うことをおすすめします。
投資用マンションは信頼できる不動産会社で
マンション投資をこれから始めようとする人や、既に投資を始めている人にとって不動産会社の存在は非常に大きいです。
不動産投資で安定した収益を得るためには、当然ですが収益性の高い物件を購入し、入居者管理や建物の管理を適切に行う必要があります。
そして、これらはどれも豊富な知識量が必要であり、投資家1人で網羅をするのは容易ではありません。
儲からない事例で紹介した通り、勉強不足で行う投資は失敗をする可能性が非常に高いです。
そのため、不動産会社選びが重要になってくるのですが、どの不動産会社が自分に合っているのかを見極めるのは難しいと思います。
物件の紹介から、運営管理や売却までをサポートする不動産会社とは、運用を開始した後も長く付き合っていくことになるため、慎重に選びましょう。