なぜ不動産売買で仲介手数料が無料になるの?仕組みやデメリットをご紹介

なぜ不動産売買で仲介手数料が無料になるの?仕組みやデメリットをご紹介

更新日:2024.05.02

仲介手数料は、売買価格に応じて数十万円から数百万円にもなる高額な費用です。
この仲介手数料が無料になれば、買主や売主にとって大きなメリットがあります。
そのため、仲介手数料無料をうたう不動産会社が存在するのです。
ですが、なぜ無料になるのかと不安に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産売買で仲介手数料が無料になる理由や仕組みについて詳しく解説しています
また、仲介手数料が無料になる物件の特徴や、注意すべきポイントについても触れていますので、不動産売買を検討している方は是非参考にしてみてください。

なぜ不動産売買において仲介手数料が無料になるのか

不動産売買における仲介手数料は宅地建物取引業法第46条により、(売買価格の3%+6万円)×消費税までが上限と決められています。
しかし、この規定はあくまでも上限を定めたものであり、下限については特に定められていません。
そのため、不動産会社は「無料~(売買価格の3%+6万円)×消費税」の範囲で自由に仲介手数料を設定することができ、割引をしたり無料にしたりといったような、会社の意思で自由に変更することができるのです。
これが不動産売買においての決まりごとであり、仲介手数料を無料にもできる最大の理由になります。
冒頭でお話ししたとおり、物件価格によっては100万円以上の費用を節約できるので、その分を別の予算に回したり、手持ち資金として残しておくことや住宅ローンの頭金に割りあてることも可能です。

仲介手数料が無料になるからくりをケース別で解説

仲介手数料が無料になるからくりをパターン別で解説

まずは具体的にどの程度の金額が仲介手数料として必要になるのか、一般的な物件価格の相場から確認してみましょう。

物件価格 仲介手数料
2,000万円 726,000円
3,000万円 1,056,000円
4,000万円 1,386,000円
5,000万円 1,716,000円

国土交通省が発表をした「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると三大都市圏における分譲戸建住宅の平均購入額は4,214万円で、分譲マンションは5,279万円、建て替え世帯は4,487万円となっています。
このデータを元に考えると平均的な仲介手数料の上限額は140万円〜180万円です。
このことから、仮に仲介手数料が無料になるだけで140万円以上の金額を節約できることが分かります。
もしも今気になっている物件や、希望されている価格帯がある方は、以下から仲介手数料が上限いっぱいかかった場合、いくらになるのか確認してみましょう。

物件価格が万円の仲介手数料は?

ではこれほどの金額を無料にできるからくりをケース別に紹介していきます。

売主業
宅建業者が自ら不動産を買い取り、整地・建設・リノベーションをして再販すること
※以下「不動産業者」とする
仲介業
宅建業者が不動産売買の中立をすること
※以下「仲介業者」とする

物件を購入する側の仲介手数料が無料のケース

物件を購入する際に仲介手数料が無料になるのは、買主にとって大きな節約になります。
実際に弊社で仲介手数料を節約した方は、浮いた資金を以下のようなことに流用しているようです。

  • リフォーム費用に企てる
  • 引っ越し費用や新生活で必要な家具・家電の購入費用を賄う
  • 引っ越しを業者に依頼する
  • ワンランク上の高い家具を購入する
  • 住宅ローンの頭金に充て、住宅ローンの借入額減らす
  • 投資に回し、将来的な資産形成に繋げる
  • 浮いたお金を貯蓄に回す

ではこれらのケースの場合、不動産仲介業者は報酬をどのように得ているのでしょうか?

両手取引で売主からのみ仲介手数料をもらっている

「両手取引」は「両手仲介」とも呼ばれ、買主と売主の間を仲介業者が一社で仲介していて、双方から手数料を得ることができる取引形態です。
そのため、買主側の仲介手数料を無料にした場合でも、売主側からは仲介手数料を受け取ることで、報酬を得ることはできます
では、売主が騙されて損をしているのかというとそういう訳ではありません。
売主が仲介手数料を支払うことで、買主を短期間で見つけることができ、早期売却に繋がります。
また、両手取引は売主と買主を一社で繋ぐため、詳しい物件情報の提供やスピーディーな対応が可能で、買主と売主の双方が満足のいく契約になりやすいという特徴もあります。

不動産会社が売主や代理の場合

不動産会社が「売主」である場合や、売主の「代理」として取引を行う場合は、仲介する必要がないので仲介手数料が発生しません。
自社で販売する物件は買主と売主の間に仲介業者はいないため、不動産会社が買主とそのまま契約を結ぶことになります
売主の代理というのは、売主から売却の依頼を受けた不動産会社が買主と直接交渉する場合のことを指すので、こちらも仲介手数料は発生しません。
そういった物件を探したい場合は、取引態様の項目が「売主」もしくは「自社物件」や「販売主」という記載があるかどうかをチェックしてみてください。

物件を売却する側の仲介手数料が無料のケース

次に物件の売主の仲介手数料が無料になるケースについて紹介します。
仲介手数料がなくなることで売却益が増えるため、シンプルにより多くの資金を手にすることができるでしょう。
弊社で仲介手数料を節約して不動産を売却した方は以下のようなことに流用しているようです。

  • 将来的な資産形成
  • 老後の資金
  • 子供の教育資金
  • 新しい物件の購入資金に充てる
  • 引っ越し費用や新生活の準備資金
  • 将来に向けての貯蓄

仲介手数料が無料になると資金に余裕が生まれ、様々なことができるようになります。
ここからは売り手の仲介手数料を無料にするための手段について確認してきましょう。

売却を依頼した仲介業者が自ら買主を見つけた場合

売主から物件の売却依頼を受けた不動産会社が自社で買主を見つけることができた場合、売主側の仲介手数料を無料にするケースがあります。
これは買主側が無料になるケースで紹介したものと同じ「両手取引」と呼ばれる取引形態です。
売主側としては、費用を抑えることができるのがメリットと言えるでしょう。
不動産会社側にとっても、仲介手数料が無料になることで売却依頼を受けやすくなるというメリットがあります

買主が買取業者の場合

買取業者は物件を仕入れて再販売することで利益を上げているため、買取業者にとって仲介業者は重要な取引先になります。
そのため、買取業者は仲介業者に対して仲介手数料を支払うことが一般的です。
仲介業者としては買取業者から仲介手数料を得られるため、売主への仲介手数料を無料にすることができます

賃貸の仲介手数料が無料になるケース

賃貸の仲介手数料の上限は宅建業法で家賃1ヶ月分と決められています。
家賃の1ヶ月分がかかるということは、初期費用の段階で前家賃と仲介手数料だけで家賃の二倍を支払っている計算です。
これだけでもかなりの費用ですが、初期費用は仲介手数料だけではありません。
国土交通省が発表しているデータから一人暮らしの家賃平均8万円で初期費用のシミュレーションをしてみましょう。

内訳 費用の内容 費用
敷金 ・家賃1ヶ月分が目安
・契約を終えて退去する時の原状回復費用に充てられる
・退去時に原状回復分が差し引かれて戻って来る
8万円
礼金 ・家賃1ヶ月分が目安
・部屋を所有する大家さんに対してお礼の意味を込めて支払う
・退去時に返還されない
8万円
前家賃 ・家賃1ヶ月分が目安
・入居する付きの家賃を前払いで支払う
・月の途中からなら日割り家賃が発生する
8万円
保証料 ・家賃1ヶ月が目安
・家賃を払えなくなった場合の備え
・退去時には戻ってきません
8万円
仲介手数料 ・家賃0.5ヶ月〜1ヶ月+消費税が目安 8万8000円
火災保険料 ・シングルで1.5万円
・カップル・ファミリーで2万円
・火災や水漏れトラブルに備えて加入する保険
1万5000円

これらの費用が全てかかった場合は42万3000円です。
これに加え「引越し費用」や「鍵の交換費用」などもかかってくることを考えると、仲介手数料無料は借主にとって大きなメリットになることがお分かりいただけると思います。
それでは、どのようにして賃貸仲介の仲介手数料が無料になるのかを見ていきましょう

大家さんが支払っている

賃貸契約においては物件によって大家さんが仲介手数料を負担してくれるケースがあります。
大家さんが仲介手数料を負担する主な理由は、物件の早期入居と長期的な入居者確保です。
仲介手数料が無料になることで借主の初期費用が抑えられ、物件の魅力が高まります。
その結果、空室期間が短縮され、大家さんは安定した賃貸収入を得ることができるのです。
ただし、仲介手数料が無料の物件の中には駅から遠い、日当たりが良くないなどの物件もあります。
なぜ仲介手数料が無料なのかという背景まで考え、慎重に選ぶことが重要です。

仲介手数料が無料になる物件の見分け方

仲介手数料が無料になる物件の見分け方

ここまで仲介手数料が無料になるからくりについて詳しく解説してきましたが、全ての物件で仲介手数料が無料になるわけではありません。
以前までは双方から3%ずつ受け取るのが一般的だったということもあり、双方から仲介手数料を得ている会社もあります。
また、両手取引ではなく「片手取引」という取引形態の場合では、売主や買主のどちらか一方からしか手数料を得ることができません。
片手取引の場合だと仲介手数料が無料になることは難しく、両手取引の場合であっても手数料が無料になるとは限らないということもあるので覚えておきましょう。
ここからは仲介手数料が無料になる物件の特徴と、その理由を詳しく解説していきます。

消費税がある物件

仲介手数料が無料になる物件をお探しの場合は、消費税の有無に注目してみてください。
物件情報に「課税物件」や「税込」と表示されていれば、不動産業者が売主である可能性が高く、仲介手数料が無料になる可能性があります
ただし、消費税の表示方法は内税で表記するのが慣例のため、課税の有無が記載されてない場合があるので注意が必要です。

複数の不動産業者から広告に出されている物件

一つの不動産業者からしか広告が出ていない物件よりも、複数の不動産業者から広告が出ている物件の方が仲介手数料が無料になる可能性が高いです。
一つの業者からしか広告がでていない場合は物件が「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」で契約されていることになります。
仲介手数料を無料にするかどうかは不動産会社が決めることができるため、その物件を取り扱っている不動産会社が仲介手数料を無料にしていなければ、仲介手数料が無料になることはないでしょう
そのため、仲介手数料無料の物件をお探しの場合は複数の不動産業者から広告されている物件を探すことをオススメします。

一つの会社からしか広告がでていない物件は囲い込みに注意

一つの不動産業者からしか広告が出ていない物件は「囲い込み」がされている可能性があるので注意が必要です。
ここで一緒に理解をしておきたいのが、媒介契約の種類についてになります。

契約の種類 同時に依頼できる数 売主が買主と直接契約 契約期間 売却活動の報告義務 指定流通機構への登録義務
一般媒介契約 複数可能 法律上の定めはなし なし なし
専任媒介契約 1社 3ヶ月 2週間に1回以上 契約締結から7日以内
専属専任媒介契約 1社 3ヶ月 1週間に1回以上 契約締結から5日以内

囲い込みが行われる可能性のある契約の種類としては、この「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」になります。
これらの契約を結んでいる状態で、他社の不動産会社からの「その物件を希望する買主がいるのですが」という連絡を断り、自社以外に物件の情報を流さないようにするのが「囲い込み」と呼ばれる行為です。
囲い込みのデメリットは自社以外に物件の情報を流さないことによる「売却行為の長期化」になります。
物件が売れないことから「物件が売れないのは価格が高いからだ」と値下げの要求をしてくる場合もあるので注意が必要です。
この囲い込みという行為自体は宅建業法違反に該当しませんが、本来なら「正当な事由」がない限り、他社からの物件の紹介や内覧を断ることはできません。
正当な事由とは、事前に「売主の承諾」を得ている状況などが該当します。
囲い込みがされる理由は仲介手数料を買主と売主の双方から3%ずつ得るためなので、仲介手数料が無料になることはありません
そのため、複数の不動産業者から広告が出ている物件はこの「囲い込み」がされていないと分かるので、会社によっては仲介手数料が無料になったり割り引かれる可能性があるということになります。

リノベーションされたマンションや戸建て

リノベーションが行われている物件は仲介手数料が無料になる可能性があります。
リノベーション後に未入居状態の物件は、その多くが不動産業者により買取され、リノベーションを行い販売されている物件です。
これは、不動産業者が商品として販売するためにリノベーションを施したことになるので、仲介手数料が無料になることがあります
個人がリノベーションを行って販売することも中にはありますが、数百万円の投資が必要になるためほとんどありません。
仲介手数料無料の物件を探している場合は、リノベーションされている中古のマンションや戸建てを狙ってみるのも一つの手だと言えます。

新築一戸建て

新築一戸建ての物件は一般的に仲介手数料がかかりません。
その理由としては取引様態が「売主」というケースは、間に仲介業者がいないため仲介手数料を支払う必要がないためです。
取引様態が「代理」である場合でも業者が売主の場合は、業者側が仲介手数料を売り手として支払う場合があります。
そのため、買主側は初期費用を低く抑えることが可能です。

ただし、近年では以下の点から売主である建売業者が、個人の買主からの直接取引を敬遠する傾向にあります。

  • 売買契約に付随した事務作業が多い
  • 住宅ローンなど専門外の知識が必要
  • 引き渡し後のトラブルが多い

そのためリスクを低減しつつ、メリットを享受する選択肢として、仲介手数料の値下げに応じてくれる仲介業者に相談される方が増加しております。

仲介手数料無料のデメリットや起こり得るトラブル

仲介手数料無料のデメリットや起こり得るトラブル

不動産売買において仲介手数料が無料になるのは魅力的ですが、いくつか注意すべき点があります。
ここからは、仲介手数料が無料の物件を探す際に注意すべきポイントを詳しく解説します。
無料という言葉に惹かれて不利な条件で契約してしまわないよう、これから紹介するポイントを参考にしてみてください

選択できる不動産の数が減ってしまう

仲介手数料無料で物件探しをすると、選択できる物件数が少なくなってしまう可能性があるので注意をしましょう。
好みの物件が見つからなかった場合は、立地や広さなどの条件面で妥協が必要になる場合があります。
仲介手数料は確かに負担になりますが、仲介手数料無料にこだわって物件選びで妥協をしたり、他の費用がかさんでしまっては本末転倒です。
ただし、ご希望の物件や好条件の物件の仲介手数料は、不動産会社によって異なるため無料になるケースもあります。
弊社では豊富な物件情報を取り揃えており、プロの専門家がお客様一人ひとりにあったサポートを徹底しております。
ご自身で見つけられた気になる物件や探しているエリアなどがある方は、気軽にお問い合わせください。

仲介手数料が無料になるか簡単に診断できます
不動産の購入と売却のどちらをご希望ですか?
   
                                     

不動産会社が売主の場合は相談できる相手がいない

通常、不動産購入の仲介業務というのは買主の安全を守るためにあります。
不動産購入は金額が大きく法律の規制も複雑なため、不動産の専門家が間に入ることで、一般の人でも安心して物件を購入できるようになっているのです。
ただ、仲介手数料無料の物件は不動産会社自身が売主となっていることが多く、買主は不動産会社と直接取引をすることも可能です
そのため、物件の状態や契約内容に不安があっても売主である不動産会社に直接尋ねるしかなく、中立的な立場からアドバイスしてくれる存在がいません。
特に、不動産購入の経験が少ない方にとって、この点は大きなデメリットと言えるでしょう。
ですが、不動産会社が売主の物件は、売却前に「瑕疵」を修繕済みであることが基本なので、個人売主の物件よりも安心して購入することができます。
加えて、リノベーションを実施した箇所については、数か月~数年の保証が付保される点も、安心してお住まいいただける要因となります。
売主がプロの専門家なので不安点などを直接相談をすることができるという捉え方も可能です。
不安な場合は一つの不動産会社に相談するのではなく、複数の会社と相談をしてみると良いでしょう。

受けられるサービスの質が低下する可能性がある

不動産会社が売主の場合、仲介業務に含まれる様々なサービスを受けられない可能性があります。
仲介業務に含まれる主な活動は以下の通りです。

  • 希望条件の聴取
  • 現地案内
  • 物件調査
  • 価格査定
  • 条件交渉
  • 契約書作成・交付・説明
  • 契約締結の立会
  • 重要事項説明
  • 住宅ローンの斡旋または手続き支援

上記に紹介した手続きのうち、義務とされているもの以外はサポートを受けられない可能性があるため、注意が必要です
仲介手数料が無料の物件を検討する際は、しっかりとしたサポート体制がある不動産会社を選ぶことをおすすめします。

別の名目で仲介手数料分の費用が徴収される可能性がある

仲介手数料が無料になる代わりに、別の名目で仲介手数料分の費用が徴収されるケースがあります。
買主、売主、賃貸契約のそれぞれのケースで、どのような費用が上乗せされる可能性があるのか見ていきましょう。

対象 費用項目
買主 ・物件価格
・礼金
・オプション費用
・物件の瑕疵に関する調査費用
・事務手数料
・書類作成費
売主 ・広告宣伝費用
・修繕費
賃貸契約 ・広告宣伝費用
・賃料の上乗せ
・更新料
・鍵交換費用
・清掃費用

例えば「広告宣伝費用」が仲介手数料とは別に費用を請求されることがありますが、本来一般的な宣伝費用というのは仲介手数料に含まれているはずです。
この「広告宣伝費用」は依頼者が特別に広告をして欲しいと依頼をした場合のみに発生するため、これが意図せず含まれていた場合はかさましをされている可能性があります
もし、疑問に思った場合は見積書などをもらい、項目や金額を確認しましょう。
仲介手数料分が別の費用で徴収されているかどうかの判断が難しい場合は複数の業者から見積もりを取得することで適正価格を判断できます。

まとめ

今回は不動産売買や賃貸契約において仲介手数料が無料になる理由をご紹介させていただきました。
仲介手数料が無料になることは魅力的ですが、デメリットやトラブルの可能性も忘れてはいけません。
トラブルを避けるためにも、信頼できる不動産会社を選ぶことが何より大切です
仲介手数料の有無だけでなく、条件面やサポート体制なども総合的に判断しましょう。

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