転職直後でも住宅ローンは組める?審査基準と通過のポイントを解説

転職直後でも住宅ローンは組める?審査基準と通過のポイントを解説

更新日:2025.11.27

転職したばかりで勤続年数が短いと、「住宅ローン審査に通らないのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。

確かに金融機関は安定した収入や勤続年数を重視しますが、転職直後だからといって必ずしも不利になるわけではありません。

状況によっては審査に通過できるケースもあり、通りやすくするためのポイントもあります

本記事では、住宅ローン審査の基準や転職直後でも通過するためのポイントをわかりやすく解説します。

ぜひ最後まで読んで、住宅ローンを検討する際の参考にしてください。

転職直後でも住宅ローンは組める?

ここでは、転職直後の住宅ローン申込みで確認しておきたい審査のポイントを紹介します

住宅ローン審査で確認される項目

住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに異なりますが、どのような点が重視されるのかを把握しておくことは重要です

国土交通省の「令和6年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、完済時年齢や年収、勤続年数などは、90%以上の金融機関が審査項目として重視しています。

審査項目 割合
完済時年齢 98.4%
借入時年齢 96.0%
健康状態 95.1%
年収 93.4%
勤続年数 93.2%
担保評価 90.5%
金融機関の営業エリア 90.5%
返済負担率 90.3%

勤続年数が短いと不利になりやすい理由

勤続年数は住宅ローン審査で特に重視される項目です。

上記の「令和6年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、勤続年数は金融機関の93.2%が重要な審査基準としており、収入の安定性を測る指標として判断しているようです。

基準とする年数は金融機関によって異なりますが、勤続年数が短いほど「今後も安定して返済できるか」という点で不利に働き、審査が厳しくなる傾向があります

雇用形態や収入の安定性が与える影響

住宅ローン審査では、勤続年数だけでなく、雇用形態や収入の安定性も重要な判断材料です。

上場企業の正社員や公務員は将来の収入が安定していると評価されるため有利ですが、契約社員や自営業者は不安定と見なされ、借入額が低くなる傾向があります。

そのため、非正規から正社員や公務員へ転職した場合は、勤続年数が短くても評価がプラスに働く場合があります

転職のタイミングで住宅ローン審査はどう変わる?

転職のタイミングによって、住宅ローン審査での評価は大きく変わります。

ここでは、「転職後の申込み」と「審査中の転職」それぞれの注意点を解説します

転職後に住宅ローンを申込む場合

転職直後に住宅ローンを申し込む場合、源泉徴収票などの提出ができないため、転職先の給与に基づいた見込み所得で審査されます。

その結果、実際の年収より低く評価され、希望額を借りられないことがあります。

さらに、採用通知書や勤続証明書など追加の書類を求められる場合もあり、準備に時間や手間がかかる点を理解しておくことが大切です。

安心して審査を受けるためには、勤続2〜3年を経てから申し込む方が無難と言えるでしょう

住宅ローン審査中に転職した場合

住宅ローンの審査中に転職すると、仮審査で申告した内容と異なるため、再度審査をやり直す必要が生じます。

本審査に進んだ直後の転職の場合も、申告内容の変更によって融資が取り消される可能性があり、勤続年数や収入面で不利に働けば、希望する住宅ローン自体が利用できなくなることもあります。

そのため、住宅ローン審査中の転職は極力避けることが重要です

転職直後でも住宅ローン審査に通過できるケース

転職直後でも住宅ローン審査に通過できるケース

転職したばかりでも、状況によっては住宅ローンの審査を通過できる可能性があります。

ここでは、どのような条件であれば審査に通過しやすいのか、具体的なケースを紹介します

グループ内での異動や出向の転職にとどめる

同じ企業グループ内での異動や出向は、通常の転職とは扱いが異なるため、住宅ローン審査に大きな影響を及ぼすことは少ないと考えられます。

企業母体が変わらないことで安定性が評価されやすいからです。

ただし、給与が下がった場合には返済能力に不安があると判断され、審査に不利に働く可能性もあるため注意が必要です。

転職で年収やキャリアを向上させる

転職によって収入やキャリアが向上した場合は、転職直後であっても住宅ローン審査に通る可能性があります。

収入が前職より上がっていれば安定性が評価され、マイナス要因にはなりにくいためです。

職務経歴書を提出する際は、キャリアアップの経緯を伝えることも効果的でしょう。

ただし、短期間で転職を繰り返す場合や異業種への転職が多い場合は、逆に不安定とみなされて不利になる可能性があります。

十分な自己資金を準備する

ある程度の自己資金を確保していれば、転職直後でも審査に通る余地があります。

たとえ収入が一時的に減っても、手元資金が十分にあれば返済が滞りにくいとみなされ、金融機関から安定した返済能力があると評価されやすいためです。

さらに、頭金を多めに用意できれば借入額が少なくなるため、毎月の返済負担を軽減できる点でも有利に働きます。

フラット35に申し込む

フラット35は勤続年数の条件がないため、転職直後でも利用しやすい住宅ローンです。

民間の金融機関と住宅金融支援機構が共同で提供する全期間固定金利型の商品で、借入時点で返済額が確定し、金利が変動しても返済額が変わらない安心感があります。

一方で、変動金利型より金利が高めに設定されているため、返済総額は大きくなる可能性があります。

安定性を優先するか、返済負担を重視するかを考えて、慎重に選択することが大切です。

連帯保証人の転職が住宅ローン審査に与える影響

連帯保証人は住宅ローン審査で必ず求められるわけではありませんが、条件によっては必要になる場合があります。

ここでは、連帯保証人が必要となるケースや、連帯保証人が転職直後の場合にどのような影響があるのかを解説します

連帯保証人が必要になるケースとは

住宅ローンは保証会社の保証を利用するのが基本で、連帯保証人は通常不要です。

ただし、次のような場合には例外的に連帯保証人が必要となります。

  • ペアローンを組むとき
  • 収入合算をする場合
  • 土地や建物を共有名義にする場合
  • 債務者以外の名義の土地を担保にする場合(親名義の土地など)

また、債務者の勤続年数が短い場合にも、金融機関から連帯保証人を求められるケースがあります

連帯保証人が転職直後の場合

連帯保証人は債務者と同じ返済義務を負うため、収入の安定性や勤続年数も審査対象となります。

そのため、連帯保証人が転職直後で経歴が浅いと、返済能力に不安があると判断され、保証人として認められない可能性があります

その結果、住宅ローン自体の審査が通らなくなる場合もあるため、連帯保証人となる人の勤務状況も慎重に確認しておくことが大切です。

住宅ローン返済中に転職するときの注意点

住宅ローン返済中に転職するときの注意点

住宅ローン返済中に転職した場合、なにも対応しなくても大丈夫なのでしょうか。

ここでは、転職後に行うべき返済計画の見直しや報告、手続きといったポイントを確認していきましょう

返済計画を見直す

転職によって収入が変動したときは、住宅ローンの返済計画を見直すことが大切です。

特に、収入が減った場合には、繰り上げ返済や返済期間の延長といった方法を取り入れることで、毎月の負担を軽減できます。

返済が難しくなる前に、早めに金融機関へ相談する姿勢が重要です。

金融機関に報告する

住宅ローンの返済中に転職した場合は、借入先の金融機関へ速やかに報告しましょう

契約時に取り交わす金銭消費貸借契約書には、転職の際に届け出る義務が明記されているケースが多いため、放置してしまうと信用にかかわるリスクにつながります。

なお、転職をしたからといって借入額や返済期間が変わるわけではありませんが、勤務先の会社名や役職など契約内容の更新が求められるため、できる限り早めに報告し、金融機関の指示に従うことが大切です。

住宅ローン控除の手続きをする

住宅ローン返済中に転職した場合は、住宅ローン控除の手続きを忘れないことが大切です。

年末までに再就職している場合は、転職先の会社で控除の申請を行い、前職からの源泉徴収票を提出します。

年末までに再就職していない場合は、確定申告で住宅ローン控除の手続きを行う必要があります。

控除を受け忘れると税金が余分にかかってしまうため、転職時には必ず確認しておきましょう。

転職が原因で住宅ローン審査に落ちたときの対処法

転職が原因で住宅ローン審査に通らなかった場合でも、対応策はあります。

ここでは、勤続年数の合算やネット銀行の利用など、検討できる対処法を紹介します

前職の勤続年数を合算できるか相談する

金融機関の中には、転職後でも前職の勤続年数を合算してくれる場合があります。

特に、同業種への転職や年収アップにつながる転職、あるいは資格取得を経てキャリアアップしたケースなど、計画性やスキル向上が認められる場合は評価されやすいでしょう

すべての金融機関で適用されるわけではありませんが、勤続年数が短いことに不安がある場合は、まず担当者に転職の経緯や収入の変化を丁寧に伝え、合算できるか相談してみることが大切です。

ネット銀行の利用を検討する

ネット銀行の住宅ローンは、勤続年数を条件としていない場合が多く、返済能力を重視して審査されます

そのため、転職直後で勤続年数が短い人でも利用できる可能性があります。

また、ネット銀行は都市銀行よりも低い金利が設定されていることが多く、金利面で有利に借りたい人におすすめです。

ただし、審査は書類に基づいた厳格かつ機械的な判断が中心となるため、基準を満たさないと通過が難しい点には注意が必要です。

勤続1年以上になるまで購入を見送る

転職が原因で住宅ローンの審査に落ちた場合は、購入時期を遅らせるのも一つの方法です。

勤続年数を延ばすことで、収入が安定していると判断されやすくなり、金融機関の基準を満たしやすくなります。

また、その間に自己資金を積み立てておけば、より好条件で借入できる可能性もあります。

住宅ローン審査に落ちた場合、専門家に相談することで自分に合った解決策が見つかることもあります。

転職直後の住宅ローンに関する不安や疑問は、お金と住まいの専門家に相談して、解決の糸口を探してみましょう。

まとめ:転職直後でも状況に応じて住宅ローンは組める

転職直後は勤続年数が短いため住宅ローン審査に不安を感じる人も多いですが、必ずしも不利になるとは限りません。

金融機関は収入の安定性や返済能力を総合的に判断します。

審査に通過しやすいポイントを確認して適切な対策を取ることで、転職直後でも安心して住宅ローンを組むことができるでしょう。