不動産を売主から直接購入するデメリットは?メリットと探し方も解説
不動産を購入する際、売主から直接購入できる「売主物件」や「売主直売」と呼ばれる不動産があることをご存知でしょうか。
このタイプの物件は売主と買主が直接やり取りを行うので、仲介手数料が発生しません。
しかし、仲介業者が仲介をしないことによるデメリットも数多く存在しています。
それらのデメリットを正しく理解しておかなければ、物件購入後の思わぬトラブルに繋がりかねません。
この記事では売主物件のデメリットや注意点を詳しく解説しつつ、売主物件の探し方もご紹介します。
不動産購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
売主から直接購入できる不動産はデメリットが多い
売主物件には、仲介手数料がかからないというメリットがあります。
しかし、メリットだけが知られていてデメリットはあまり知られていないというのが現状です。
不動産取引に不慣れな方や初めてだという方は、特に注意深く読み進めていただければと思います。
不動産の専門的な知識が求められる
売主物件の場合だと不動産業者が仲介をしていないため、売主と買主が直接やり取りをすることになります。
そのため、本来なら不動産業者が行っていた情報の受け渡しや、適正な価格設定、売買契約書の内容チェックなどが売主物件だと行われません。
例えば「再建築不可能だった」などの重要な情報が売買契約後に発覚するケースや、実は適正価格以上の値段で購入をしていたケースなどが挙げられます。
これらの可能性があるため、不動産の専門的な知識がない状態で売主物件を購入するのは避けた方が良いでしょう。
説明書や契約書が売主側の独自書式になる
不動産業者を利用するメリットは、取引経験が豊富なプロが両者の視点を踏まえ、書類を作成してくれるところです。
ただし、売主物件のケースだとこれらの書類を売主が自らが作成します。
独自の書類というのは法律上は問題ありませんが、不動産売買で必要になる書類数は多く、どれもが専門的な内容になるため、少し不安を感じるかもしれません。
また、こういった独自の書類というのは売主側の視点のみが強調され、中立的な視点に欠ける書類であるケースが多いです。
客観的な視点を踏まえた書類を用意してもらいたい場合は不動産会社に依頼するのが良いでしょう。
売主にとって不利な情報が隠されてしまう可能性がある
売主物件の場合、売主が買主にとって不利な情報を隠してしまうケースがあるので注意が必要です。
理由としては、売主と買主の間に不動産の情報格差があるのが理由になります。
不動産の専門的な知識を有していない買主に、売主が売却するにあたって不利な条件を隠したとしても買主に伝わる可能性というのは低いです。
一方、不動産会社が仲介を行う場合は情報を隠す必要がないため、買主に対して正確な情報提供を行います。
また、不動産会社が説明責任を果たさなかった場合、免許を失う可能性もあるため、買主への情報提供は確実に行わなければなりません。
そのため、自分にマイホーム探しをしたい場合だと売主物件ではなく、不動産会社などを通じて物件を探した方が満足度が高い結果を得られやすいです。
弊社では月に90組以上のお客様からご相談を受けてきた経験豊富なスタッフが在中しているため、あなたのペースに合わせた最適な提案をすることができます。
もし、マイホーム探しで疑問やご不明点等がある方はお気軽にお問い合わせください。
物件の選択肢がかなり少ない
売主物件の場合、売主が所有している物件の中からしか選ぶことができません。
売主によっては所有している物件数が極端に少ないこともあるため、物件の選択肢が限られてしまいます。
一方、不動産会社に仲介してもらうことで、物件の選択肢を広げることが可能です。
中には売主との付き合いなどがあり、不動産会社を通さないと購入できない物件もあります。
特に中古物件には優良物件だけでなく、購入を避けた方が良い物件もあるため注意が必要です。
優良物件の見極め方などは以下の記事で詳しく解説をしているため、気になる方は参考にしてみてください。
不動産購入のサポートが手薄いことが多い
初めての不動産売買はたくさんの不安があると思います。
そのため、不動産を購入する際に「どれくらいサポートをしてもらえるのか」というのはかなり重要視したいポイントです。
その観点でいえば、売主物件は不動産会社が仲介するケースと比べると、サポートが限定的になってしまうのでおすすめできません。
例えば不動産会社の主な仕事は以下のようになります。
- 不動産物件の査定
- 物件の広告や宣伝
- 契約の締結と書類の作成
- 物件の引き渡し
- ローンの手続き
- アフターサービス
売主物件の場合だとこれらの業務を売主自身が行うことになるため、買主のサポートまで手が回らないケースが多いです。
特に住宅ローンの手続きや、瑕疵が見つかった際のサポートなどが不十分になってしまいます。
ただ、事前説明がなく瑕疵が見つかった場合だとクーリングオフが利用可能です。
売主物件の購入を考えている人は、クーリングオフの条件なども合わせて確認しておくことをおすすめします。
クーリングオフの条件については、以下の記事で詳しく解説しているのでこちらも併せて参考にしてください。
売主物件の特徴やメリットを紹介
ここまでは、売主物件のデメリットについて詳しく解説してきました。
売主物件にはリスクが伴うことは事実ですが、メリットがないわけではありません。
売主物件ならではの魅力も、しっかりと理解しておく必要があります。
ここからは、売主物件の特徴やメリットについてポイントを解説していきますので、売主物件を検討中の方は参考にしてみてください。
売主と直接交渉ができるからやりとりがスムーズ
売主物件の大きなメリットの一つが、売主と買主が直接やりとりできるところです。
不動産会社を介さないため、買主の要望を売主に直接伝えることができます。
不動産の専門的な知識がある方であれば、自分で交渉を進められるのでスムーズにやり取りを行えるでしょう。
ただし、専門的な知識がない場合は話が噛み合わなかったり、要望が通らなかったりするケースもあります。
売主との直接交渉は不動産の知識と交渉力が求められますので、自信がない方は不動産会社に仲介をしてもらうのがおすすめです。
仲介手数料が無料になる
売主物件では売主と買主が直接やり取りを行い、不動産会社を介さないため仲介手数料を支払う必要がありません。
仲介手数料でどれくらいの費用がかかるのかを見ていくために、4,000万円の物件で考えてみましょう。
仲介手数料は「物件価格×3%+6万円+消費税」で計算をすることができるので、この計算式を元に計算をすると138万6,000円になります。
これほどまでの高額な費用が無料になるのは、売主物件の最大の魅力だと言えるでしょう。
ただし、売主物件を購入するためには複雑な書類のやり取りや、住宅ローンを組む手続きなどを行う必要があり、個人では難しい手続きというのものも多くあるので注意しましょう。
お望みの物件の仲介手数料が気になる方は以下で計算してみましょう。
新築やリノベーションの物件が多い
売主物件には、新築やリノベーション済みの物件が多いという特徴があります。
特に、不動産会社が売主の場合だと、一度物件を買い取ってからリノベーションやリフォームを行い、付加価値を高めて販売することが一般的です。
新築やリノベーション済みの物件は、入居後しばらくは修繕費用が少なくて済むというメリットがあります。
ただし、リノベーションを行った物件の中には、水回りや構造上の補修が十分に行われていないケースもあるので注意が必要です。
売主物件と仲介物件の違い
ここまで、売主物件について詳しく解説してきました。
それでは、売主物件と不動産会社が仲介する物件にはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。
取引スタイル | メリット | デメリット |
---|---|---|
売主物件 | ・仲介手数料がかからない ・売主との直接交渉が可能で、要望を伝えやすい ・やり取りのレスポンスが早く、物件情報を詳細に得られる ・売主の事情を直接聞ける ・価格交渉の余地が大きいケースがある |
・物件情報の収集に時間がかかる ・売主の対応が不慣れな場合がある ・トラブル時の解決が難しい場合がある |
仲介物件 | ・不動産のプロが間に入るため、安心して取引ができる ・物件の情報が豊富で、希望に合った物件が見つかりやすい ・住宅ローンや税金など、購入に関する総合的なサポートが受けられる ・契約書の作成など、煩雑な手続きを代行してもらえる ・トラブル時の解決が比較的容易 |
・仲介手数料が発生する ・売主との直接交渉ができないため、要望が伝わりにくい ・不動産会社の営業方針によっては、強引な勧誘を受ける可能性がある |
売主物件は仲介手数料がかからず、売主との直接交渉ができますが、物件情報の収集に時間がかかり、売主の対応が不慣れな場合があります。
仲介物件は不動産業者のサポートがあり、多数の物件情報が得られますが、仲介手数料がかかり、売主との直接交渉ができません。
物件を選ぶ際はこれらのメリットとデメリットを踏まえ、自分の状況やニーズに合った物件を選ぶようにしましょう。
売主物件の不動産を購入するときに注意すること
売主物件を購入する際は、いくつかの注意をしてもらいたいポイントがあります。
これから紹介するポイントを理解しておくことで、売主物件の購入をスムーズに進めることが可能です。
売主物件を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
値引きや条件などのすり合わせは慎重に行う
売主物件は比較的値引き交渉がしやすいと言われていますが、それは状況によって異なります。
以下の表は、値引き交渉ができるケースとできないケースをまとめたものです。
状況 | 売主が不動産会社 | 売主が個人 |
---|---|---|
値引き交渉ができるケース | ・物件が長期間売れ残ってる ・買主の購入意欲が高く、速やかな決済が見込める ・在庫物件が増加している ・年度末や四半期の決算期 |
・一定期間内に売る必要がある場合 ・離婚後や相続した物件を早く現金化したい ・売主と買主の関係性が良好 |
値引き交渉ができないケース | ・周辺に競合をしている物件がすくない ・その物件の需要が高い ・買主の購入意欲や決済能力に不安がある ・ブランド力が高い物件 ・会社の方針で決められている |
・売却を特に急いでいない ・物件に対して強い思い入れがある ・売主の中で「この金額だったら売っても良いかな」という価格がある |
また、値引き交渉を行う際は、「この価格になりますか?「どれくらい値引きできますか?」というような言い方ではなく、「この価格になったら確実に購入します!」と明確に伝えることが大切です。
交渉金額が大きいケースだと、売主側も売却をして利益を上げたいと思っているため、値引きを受けるのは難しいでしょう。
値引き交渉のタイミングとしては、最初の連絡時や申込前の購入意思を伝える場面が適しています。
契約書に書かれている内容をよく確認する
売主物件は売主が独自で作った契約書を使用することが一般的です。
そのため、契約書の内容をよく確認することが非常に重要になります。
契約書は取引において最も重要な書類であるため、そこに書かれている内容が買主にとって不利な内容な場合は契約を見送らなければなりません。
もし、ご自身だけでは不安だという場合は事前に契約書のひな形を入手しておいて、第三者にチェックしてもらうと良いでしょう。
第三者の目を通すことで、見落としていた重要なポイントが発見できるかもしれません。
手続きのサポートの有無を問い合わせる
前述した通り、売主物件は不動産会社が仲介する場合と比べて、買主側が自力で行わなければならない手続きが多くなってしまいます。
そのため、売主にどこまでのサポートが可能かを確認しておくことが大切です。
不動産売買のような高額な取引で手続きがスムーズに行えないと、かなりリスクが大きくなってしまいます。
特に、不動産取引に不慣れな方にとっては手続きの煩雑さが大きな負担になってしまうでしょう。
売主に問い合わせてサポートが不十分だと感じたら、不動産会社の利用を検討してみてください。
専門的な知識を持っている人に同行をしてもらう
不動産の知識を持っていないまま取引を進めてしまうと、最悪の場合トラブルに巻き込まれる可能性があります。
そのようなリスクを避けるための手法が、専門的な知識を持った人に同行してもらう方法です。
例えば「売主物件は仲介手数料が無料だからお得」だと言われて手続きをしても、実は売主が物件調査をあまり行っておらず、物件価格が適正でなかったケースなどがあります。
このようなケースも第三者の目を通すことで、避けることができるかもしれません。
専門的な知識を持っている友人でなくとも、冷静に判断ができる人に一緒にチェックをしてもらうことで重要なポイントを見落す確率は低くなります。
不動産取引は高額な買い物になるので、一人で判断するのは避け、相談できる相手と相談を重ねながら検討をすることが重要です。
良い面だけを見て判断をしないようにする
売主物件で注意をしていただきたいのは、良い面だけを見て判断をしないようにするというところです。
売主物件では物件を客観視する人間がいないため、情報が「良い面」だけに偏ってしまい、買主に良い面だけを全面的に押し出して営業を行います。
特に「あなたの望む条件にピッタリだから」という営業トークには注意をしてください。
その理由としては、相談を重ねていく中でお客様の求める条件が変わることが多いからです。
そのため、押し売りのような態度を取る売主から購入してしまうと、後になって「思い描いていたマイホームの暮らしと違う」と後悔する可能性が高くなってしまいます。
売主物件の最大のメリットは仲介手数料が不要な点ですが、購入してから後悔をしても良いほど不動産は安い買い物ではありません。
もし、マイホーム探しで悩んでいる方がいれば、弊社にお気軽にご相談ください。
弊社では現在、仲介手数料最大無料のキャンペーンを行っています。
売主物件の最大の魅力である「仲介手数料無料」を仲介物件でも発揮でき、なおかつ扱っている物件数も豊富です。
必要書類や住宅ローンなどの手続き関係のサポートはもちろんのこと、大企業グループならではの安心感で多くのお客様にご満足いただいております。
マイホーム探しという人生の中で大きな買い物を弊社が全力でサポートをさせていただきますので、些細なことでもまずはご相談ください。
売主から直接購入できる不動産の探し方
売主物件を探す際は、不動産情報サイトを活用するのが一般的です。
売主物件の場合、取引態様に「売主」と記載されています。
一方、仲介物件の場合は「仲介」や「媒介」などと表示されるので、そこで区別をすることが可能ですただし、多くの不動産情報サイトでは、売主物件と仲介物件が混在して掲載されているため、探すのに手間がかかってしまいます。
そのため、売主物件を取り扱っている会社のページを直接検索したり、リノベーション物件に特化したサイトをチェックするのがおすすめです。
また、売主物件の確認方法として「登記簿謄本を確認する」という方法がありますが、登記簿謄本の取得には600円の費用がかかるため、あまりおすすめはできません。
売主物件と仲介物件のよくある質問
売主物件と不動産会社の仲介物件、どちらの不動産を購入するのがよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、売主物件と仲介物件に関するよくある質問をご紹介します。
不動産購入を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
仲介手数料が無料にできる理由は?
不動産の仲介手数料は、宅地建物取引業法第46条により上限が定められています。
具体的には、(売買価格の3%+6万円)×消費税が上限額です。
ただし、この規定はあくまで上限を定めたものであり、下限は設けられていません。
つまり、仲介手数料は「無料」から上記の上限額までの範囲内であれば、自由に設定することができます。
とはいえ、仲介手数料を無料にできる理由はそれだけではありません。
詳しくは以下の記事で解説していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
仲介手数料の分割払いは可能ですか?
仲介手数料は、原則として契約時に一括で現金支払いをする必要があります。
ローンなどを利用して支払うことは基本的にできないため、契約時には仲介手数料の全額とその他の手付金などの費用を持参しなければなりません。
ただし、支払いのパターンは不動産業者ごとに異なることがあります。
決済時に一括で支払うケースが多いですが、中には契約時に半金、決済時に半金という形式を取る業者もあるようです。
また、多額の現金を持参するのが不安だと感じる人は、振込などで支払えないかを不動産業者に直接確認してみると良いでしょう。
相談するだけでお金はかかるの?
不動産会社に相談だけをしに行っても、特にお金はかかりません。
相談を受けてもらったからには、そのまま契約までしなければいけないと考える方もいるようですが、そのような必要はないのでご安心ください。
ただし、不動産会社にも混雑している時期があるので、じっくりと相談をしたい場合は閑散期を狙うのがおすすめです。
不動産会社の繁忙期は、多くの人が住宅購入を検討する時期でもあります。
みんながどのようなタイミングで家を購入しているのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
売主物件はお買い得だけど注意が必要
売主物件は、仲介手数料がかからないため、一見するととてもお買い得に感じられます。
しかし、注意しなければならないポイントが数多くあるのが実情です。
売主物件を検討する際は、価格の安さだけでなく、物件の状態や売主の対応なども十分に確認するようにしましょう。