マンション騒音の原因と対処法を徹底解説!苦情対応と予防策も紹介

マンション騒音の原因と対処法を徹底解説!苦情対応と予防策も紹介

更新日:2025.04.16

マンションの騒音に悩んでいたり、騒音の苦情を言われて戸惑っているという声は少なくありません。

マンションのような集合住宅では、日常の生活音が思いがけずトラブルの原因になることもあります。

音の感じ方には個人差があるため、自分では気づかないうちに誰かに迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。

この記事では、騒音に悩んでいるときや、苦情を言われたときの正しい対処法、騒音トラブルを避けるためのポイントを紹介します

快適に暮らせるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

なぜマンションで騒音トラブルが起きやすいのか?

マンションの周辺には、電車や車の通行音、サイレン、子どもの声など、さまざまな音が日常的に存在しています。

さらにマンションでは、上下左右に他の住戸が隣接しており、テレビや掃除機の音、足音などが想像以上に響くことがあります

音の感じ方には個人差があるため、自分では気にならないような音でも、相手には「うるさい」と受け取られてしまう可能性もあるでしょう。

また、マンションの構造上、壁や床にある空洞で音が増幅されるケースもあり、音がより大きく伝わる要因にもなっています。

マンションで起こりやすい騒音の種類

マンションで発生する音にはいくつかの種類があります。

原因や伝わり方によって対策も異なるため、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。

空気中を伝わって聞こえる音(空気伝播音)

マンションで聞こえる音の中には、空気を通して伝わる「空気伝播音」があります。

たとえば、以下のような音が該当します。

  • 人の話し声
  • 人の笑い声
  • ペットの鳴き声
  • テレビの音
  • 楽器の音
  • 電話の呼び出し音

こうした音は、エアコンの配管穴などの隙間をふさぐほか、壁の内部に吸音材を入れることで、ある程度抑えることができます。

建物が振動して伝わる音(固体伝播音)

壁や床、天井などが振動することで伝わる「固体伝播音」も、騒音トラブルの原因になりやすい音の一つです。

代表的な音としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 子どもの足音や椅子を引く音
  • 物を落とす音
  • ドアの開閉音
  • 配管を流れる水の音

マンションでは住戸同士が構造的につながっているため、こうした音が他の部屋に響きやすくなります。

特に上の階からの足音は苦情が多く、完全に防ぐのは難しいですが、防音マットやカーペットの使用によって一定の軽減は可能です。

屋外から聞こえる騒音

マンションの騒音は、隣や上下の住戸からだけでなく、屋外から伝わる音が原因になることもあります。

たとえば、以下のような音が挙げられます。

  • 電車や車の走行音
  • 車のクラクション
  • 建設現場や工場の作業音
  • 商店街の音楽
  • 飲食店からのカラオケ

こうした騒音は、曜日や時間帯によって大きく変化するため、内覧時には気づかないケースも少なくありません

対策としては、隙間テープや防音カーテン、防音ボード、内窓(二重窓)の設置などが有効です。

マンションで生活音が騒音になる目安

マンションで生活音が騒音になる目安

音の感じ方は人それぞれ異なるため、日常音と騒音の境界があいまいになり、判断に迷うこともあります。

そうしたときでも、騒音の目安となる数値を把握しておけば、冷静に状況を受け止めやすくなるでしょう。

生活音と騒音の境目となる基準とは?

環境省の定める住宅地の騒音基準は、昼間(午前6時〜午後10時)が55デシベル以下、夜間(午後10時〜翌午前6時)が45デシベル以下とされています。

地域の類型 昼間
(午前6時〜午後10時)
夜間
(午後10時〜翌日午前6時)
療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域 50デシベル以下 40デシベル以下
住居用の地域 55デシベル以下 45デシベル以下
住居用とあわせて商業、工業用の地域 60デシベル以下 50デシベル以下

たとえばエアコンの音は41〜59デシベル、掃除機は60〜76デシベルとされており、日常的な音でも基準を超える可能性があります。

そのため、気付かないうちに他の住戸にストレスを与えていることもあるのです

身近な生活音の大きさは?

ここでは、マンションでよく聞こえる生活音の大きさを紹介します。

日常生活音のいろいろ 音の大きさ
家庭用設備 エアコン 約41~59デシベル
換気扇 約42~58デシベル
風呂または給排水音 約57~75デシベル
家庭用機器 洗濯機 約64~72デシベル
掃除機 約60~76デシベル
目覚まし時計 約64~75デシベル
電話のベルの音 約64~70デシベル
音響機器 ピアノ 約80~90デシベル
ステレオ 約70~86デシベル
テレビ 約57~72デシベル
その他 犬の鳴き声 約90~100デシベル
子供のかけ足 約50~66デシベル
ふとんをたたく音 約65~70デシベル
車のアイドリング 約63~75デシベル
人の話し声(日常) 約50~61デシベル
人の話し声(大声) 約88~99デシベル

生活音は、聞こえる時間帯や周囲の環境によって受け取られ方が大きく変わるものです。

昼間は気にならない程度の音でも、静まりかえった早朝や夜の時間帯には、強い不快感を与える騒音と捉えられることがあります。

デシベル値が環境基準を下回っていたとしても、不快に感じるケースがあるのが生活騒音の特徴です。

マンションで騒音が気になるときの対応方法

騒音が気になったときは、すぐに相手に伝えるのではなく、記録・確認・相談という順番を意識して対応することが大切です。

ここでは、1〜3のステップに分けて、落ち着いて対処するための方法を紹介します。

1.騒音の内容を記録して状況を整理する

気になる音が続いている場合は、感情的に反応する前に、まずは冷静に状況を整理することが重要です。

特に、いつ・どの時間帯に音が発生しているのかを記録しておくことで、相談や対応を進めやすくなるでしょう。

音の大きさについては、騒音計やスマートフォンのアプリを活用すれば、デシベル(dB)という客観的な数値で把握できるため、主観に左右されず、冷静な判断がしやすくなります。

2.他の住人にも確認して客観的な意見を集める

可能であれば自分だけの感覚で判断せず、同じフロアや近隣に住む人にも状況を確認してみましょう

「自分の部屋でも似たような音がする」などといった意見が得られれば、騒音の発生源を特定する手がかりになる可能性があります。

ただし、個人同士での話し合いがこじれて別のトラブルに発展することもあるため、管理会社や大家と連携しながら進めることが大切です。

3.管理会社や大家に相談する

マンションで騒音に悩まされているときは、相手に直接苦情を伝えるのではなく、管理会社や大家に相談するのが安全です

本人に直接伝えることは、関係がこじれて思わぬトラブルに発展する可能性があります。

また、音の発生源を誤って別の住人に苦情を伝えてしまうと、無用なトラブルにつながる可能性もあります。

まずは騒音の記録をもとに状況を伝え、管理会社や大家から張り紙などで注意喚起してもらうのがよいでしょう。

どうしても騒音に耐えられないときの対処法

どうしても騒音に耐えられないときの対処法

管理会社への相談などで解決しない場合は、警察への通報、弁護士への相談、住み替えの検討といった段階的な対処も検討する必要があります。

1.警察に通報する

騒音がひどく、緊急性を感じた場合には、警察に通報して注意を促してもらうことを検討しましょう。

110番に通報する際は、音の種類や大きさ、部屋番号などを聞かれるため、あらかじめ内容を整理しておくとスムーズです。

また、騒音主に知られたくないときは匿名での通報もできます。

110番に通報するほどではないと感じる場合や、もう少し気軽に相談したいときは、警察相談専用電話「#9110」番の利用がおすすめです。

2.弁護士に相談して法的手段をとる

管理会社や大家に相談しても騒音が改善されない場合は、弁護士に相談し、法的な対応を検討することも選択肢の一つです。

弁護士から注意喚起の文書が届いたことで、騒音が止んだという事例も少なくありません。

裁判を起こすには、騒音が発生した日時や場所の記録に加え、音声の録音やデシベルの測定など、証拠をできるだけ多くそろえておくことが重要です。

ただし、費用や時間がかかるため、訴訟は話し合いでの解決が難しい場合に限った手段と考えるのが現実的です。

3.マンションを売却して引っ越す

騒音のストレスから一刻も早く解放されたい場合や、騒音主と争うことなく問題を終わらせたいときは、マンションの売却を検討するのも一つの選択肢です。

裁判には時間と労力がかかり、必ずしも望む結果が得られるとは限りません。

精神的な負担を最小限に抑えたいなら、住み替えによって新たな生活環境を選ぶことも前向きな解決策といえるでしょう。

マンションで騒音が気になるときに避けるべき行動

騒音に悩んでいるときこそ、感情的に動いてしまうと状況を悪化させるおそれがあるため、冷静に対応することが大切です。

ここでは、トラブルをこじらせないために避けたい行動をあらかじめ確認しておきましょう

直接クレームを伝えるのは逆効果

騒音に悩んでいるとき、相手に直接苦情を伝えたくなる気持ちは自然ですが、思い込みで行動に移すのは非常に危険です。

集合住宅では音の出どころがわかりにくく、自分が騒音の原因だと認識していない住人に突然クレームを入れると、感情的な対立を招くおそれがあります

録音や記録をもとにした指摘であっても、当事者同士の話し合いは冷静さを欠きやすく、状況がさらに悪化する場合もあるため注意が必要です。

仕返しや騒音でやり返すのはNG

騒音がうるさいからといって、自分も騒音でやり返すような行動は避けるべきです。

たとえ感情をぶつけたくなっても、その行為が相手に伝わるとは限らず、周囲の別の住戸に迷惑をかけてしまうこともあります。

さらに、天井や壁を叩いて傷つけてしまった場合は、自ら修繕費を負担することにもなりかねません。

冷静な対応こそが、問題をこじらせないための第一歩です。

マンションで騒音の苦情を言われたときの正しい対処法

マンションで騒音の苦情を言われたときの正しい対処法

反対に、他の住人から騒音の苦情を言われた場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。

たとえ心当たりがなかったとしても、感情的にならず、状況に応じて冷静に対応することが重要です

ここでは、その際にとるべき3つの対応方法を解説します。

1.丁寧な対応を心がける

騒音について指摘を受けたときは、対応の仕方次第で、その後の近所付き合いに大きな影響を与えることがあります。

まずは丁寧な姿勢で相手の話に耳を傾け、誠実に対応することが大切です。

感情的にならず冷静に受け止めることで、トラブルを最小限に抑えることにもつながります。

2.思い当たる場合はすぐに対策を取る

騒音の原因に心当たりがある場合は、できることから早めに行動することが大切です。

生活音が出る時間帯に気を付ける

夜間や早朝の静かな時間帯は、日中には気にならないような音でも、騒音と受け取られることがあります。

洗濯機を夜遅くに使ったり、早朝に掃除機をかけたりすると、近隣に不快感を与えてしまうかもしれません。

すぐに生活リズムを変えるのが難しい場合でも、なるべく音の出やすい作業は昼間に行うよう意識するだけで、印象が大きく変わることもあります。

防音対策をする

大きな音を出していないつもりでも、生活音が響いてクレームにつながることがあります。

足音が気になるときはカーペットやマットを敷く、家電の音が伝わりやすい場合は壁から少し離して設置するなど、手軽な対策から始めてみましょう

さらに必要であれば、防音シートや防振マットなどを使って音の広がりを抑える方法もあります。

3.心当たりがないときは管理会社に調査を依頼する

騒音の苦情を言われたものの、自分に身に覚えがない場合は、その旨を管理会社に伝えましょう。

足音や振動音などは建物の構造を通じて伝わりやすく、音の発生源が実際とは異なる部屋で聞こえることもあります。

誤解によるトラブルを防ぐためにも、内容をよく確認したうえで、必要に応じて管理会社に調査を依頼するのが適切です

騒音の少ないマンションを選ぶためのチェックポイント

騒音の少ないマンションを選ぶためのチェックポイント

マンション選びでは、構造や立地などを事前に確認することで、騒音トラブルを避けやすくなります。

物件ごとの構造や周辺環境は、不動産会社を通じて詳しく確認するのが安心です。

SRC造やRC造のマンションを探す

マンションの構造によって、防音性能には大きな差があります

一般的に、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)や鉄筋コンクリート造(RC造)は壁の密度が高く、音を遮る力に優れているとされています。

一方、鉄骨造(S造)は隙間が生じやすく、防音性はやや劣る傾向があります。

また、分譲タイプのマンションは構造面で遮音性に配慮していることが多いため、騒音対策を重視する人に向いています。

ただし、構造がしっかりしていても、ペット可や楽器可の物件は生活音が気になる場合もあるため、契約前に条件をよく確認しましょう。

階数や部屋の位置も騒音に大きく関係する

マンション選びで騒音を少しでも避けたいなら、マンションの最上階や角部屋を検討するとよいでしょう。

上の階からの物音に悩まされる心配がなく、隣接する住戸も少ないため、最上階の角部屋は生活音によるストレスが比較的少ない環境といえます。

ただし、外気の影響を受けやすいぶん、冷暖房の効きや断熱性に注意が必要で、場合によっては追加の対策が求められることもあります。

さらに、エレベーターの近くや人通りの多い共用部に面した住戸は、生活音以外の雑音が気になる可能性があるため、内見時には壁の厚みや収納スペースの配置など、音の伝わり方も意識して確認しておくと安心です。

立地環境も確認する

騒音の原因は建物内だけでなく、周囲の環境にもあるため、周辺の立地条件は物件選びの重要なポイントです

たとえば、幹線道路や商業施設、学校、公園などが近いと、時間帯によっては車の走行音や人の声が気になることがあります。

また、子どもが多く住む地域では、マンション内でも生活音が活発になる傾向があるため、内見時に周囲の雰囲気や住人の様子を確認しておくと安心です。

内見時に掲示板を確認する

内見の際には、共用部の掲示板やエレベーター内の張り紙にも目を通しておくと安心です

「騒音にご注意ください」などの注意喚起が掲示されていれば、過去または現在、騒音に関するトラブルが起きている可能性があります。

また、室内にいるときに隣接住戸からの生活音や駐車場の物音がどの程度聞こえるかも確認しておくとよいでしょう。

まとめ:マンションの騒音問題は冷静な対処が重要

マンションでの騒音トラブルは、実際に住んでみないと分からないこともありますが、事前に建物の構造や部屋の位置、周辺環境などを確認しておくことで、ある程度のリスクは減らせます。

それでも問題が起きたときは、一人で抱え込まず、管理会社や大家の力も借りながら、落ち着いて対応していくことが大切です。

無理せずできることから始めて、快適な住まいづくりを目指しましょう。